ヤギ赤血球抗原に対するモノクローナル抗体の作製とその有効性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヤギ赤血球の同種および種属抗原を詳細に分析するため,ハイブリドーマ法により抗ヤギ赤血球MoAbを作製した.MoAbは,ヤギ赤血球で免疫したBALB/cマウス脾細胞とマウスミ***ーマ細胞(X 63.653またはNS-1)をpolyethylene glycolを用いて融合したハイブリドーマ細胞より得た.7回の細胞融合実験により,免疫抗原に対する抗体(凝集素あるいは溶血素)を産生するハイブリドーマ細胞が合計272株得られた.そのうち,凝集素産生細胞は15株(5.5%),溶血素産生細胞は257株(94.5%)であり,溶血素産生細胞が多数出現した.それらのMoAbの抗体クラスを寒天ゲル内二重免疫拡散法により分析したところ,すべてIgGもしくはIgMクラスに属していた.また,MoAbは腹水より回収することにより免疫抗原に対して平均15,919倍(IgG)ないし平均28,755倍(IgM)の力価を獲得することが可能であった.陽性ハイブリドーマ細胞のうち細胞増殖が良く培養上清中の蛋白質が高かった39株を選択し,その特異性を165例のヤギ赤血球を用いて調査したところ,同種抗原特異抗体が8種認められた.そのうちの一つはPoAb Gh 3と同一の反応を示したが,その他は既に得られていたいずれのPoAbとも異なった反応を示した.さらに,これ以外の31種のMoAbについて,ヤギ,ヒツジ,ウシ,スイギュウ,ブタおよびウマの6種の動物赤血球を用いて種属抗原の特異性を調査したところ,ヤギの赤血球抗原のみと反応する17種の抗体が得られた.以上,従来から赤血球抗原の分析に用いられているPoAbに比して,特異性,再現性および抗体力価の点で高い有効性を持つ抗ヤギ赤血球MoAbを,マウスハイブリドーマ法により作出することに成功した.
著者
-
安尾 美年子
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター移植免疫研究室
-
早坂 勇太郎
東京女子医科大学腎臓外科
-
天野 卓
東京農業大学
-
林 智人
東京農業大学農学部
-
天野 卓
東京農業大学家畜血清学研究所
-
林 智人
東京農業大学家畜血清学研究所
関連論文
- 伊東市および小田原市に定着した外来種ハリネズミのミトコンドリアDNA多型解析
- マイクロサテライトDNA多型情報にもとづく龍神地鶏の遺伝的多様性
- アカネズミApodemus speciosusの側溝への落下時期と繁殖期との関連性
- 丹沢山地の巣箱利用からみたニホンモモンガPteromys momongaの環境嗜好
- モンゴル在来山羊3集団の冬季体重損耗率とカシミヤ毛生産量
- ウシとその近縁種の共通赤血球抗原
- リツキシマブを投与した症例におけるプロテアーゼ処理フローサイトメトリークロスマッチテストの検討
- マイクロサテライトDNA多型情報にもとづく日本鶏,特に軍鶏およびその近縁品種の遺伝的多様性と集団構造
- 腎移植後における血漿中の可溶性CD30濃度と臨床パラメーターとの相関性
- タイ国における家畜ヤギ遺伝資源とその育種戦略
- 抗HLA抗体の変化と慢性移植腎症発症についての検討
- 腎移植における液性抗体検査法の検出感度試験
- calcineurin 活性の新しい免疫学的測定法とその臨床的意義
- 血液型不適合腎移植後における抗体価の測定-第2報- : ELISA法による抗血液型抗体の交叉反応性について
- 腎移植におけるドナー特異的液性抗体検出の検討
- 血液型不適合腎移植後における抗体価の測定 : ELISAによる抗糖鎖抗体の検出
- ミトコンドリアDNA情報にもとづく沖縄, 奄美在来豚の系統遺伝学的研究
- マイクロサテライトDNA多型による会津地鶏の遺伝的多様性と遺伝的位置
- フローサイトメーターを使用した抗A/B抗体価測定法の確立
- Inosine monophosphate dehydrogenase (IMPDH) 活性測定法の検討
- 1. 抗BMA031・白己抗体測定に及ぼす血中BMA031の影響(第21回学内免疫談話会(平成13年7月7日))
- 4. 抗ヒトT細胞抗原レセプター(αβTCR)抗体により誘導される3次自己抗体によるドナー抗原特異的免疫抑制に関する基礎的検討(第20回学内免疫談話会,学術情報)
- tacrolimus (FK 506)の臨床応用の現況と問題点
- 腎移植における免疫抑制剤 mizoribine の至適投与に関する検討 : 第80回日本泌尿器科学会総会
- 犬同種腎移植におけるdeoxyspergualin(DSG)とドナー血輸血(DST)の併用効果に関する検討 : 第79回日本泌尿器科学会総会
- 腎移植350例の経験
- ウマ血清蛋白質に対するモノクローナル抗体の作製
- 2. ヒト異種移植におけるIong-term DSTの基礎的検討(第16回学内免疫談話会,学術情報)
- 82.大分子・中分子溶質を選択的に除去する濾過器の検討
- マイクロサテライトDNA多型情報にもとづく日本鶏,特に地鶏,小国およびその近縁品種の遺伝的多様性と集団構造
- Viva-E システムを用いた Cyclosporine 血中濃度測定の基礎的検討
- 血液タンパク質多型に基づくベトナム在来アヒルと他のアジア産アヒルとの類縁関係
- 血液タンパク質多型に基づくベトナム在来アヒルと他のアジア産アヒルとの類縁関係
- 韓国在来ヤギのカシミア毛タンパク質のN末端アミノ酸配列
- 韓国在来ヤギにおける血清アルカリ性ホスファターゼ・アイソエンザイムの加齢変化
- 常時流水のある側溝による小型哺乳類の落下・死亡
- 本邦における腎移植成績 : 組織適合性と生着率(II)
- 本邦における腎移植成績 : 組織適合性と生着率(I)
- 根井先生と日本動物遺伝育種学会会員とのお付合いの始まり
- マイクロサテライトDNA多型情報にもとづく日本鶏,特に観賞用品種の遺伝的多様性と集団構造
- ホルスタイン種の同種免疫によるリンパ球抗原(BoLA)に対する抗血清の作製と吸着による抗体の単離
- ネパール在来鶏の血液型
- ヤギの主要組織適合性遺伝子複合体class II領域の構造とβ鎖遺伝子構成
- わが国保有ヤギ5集団におけるMHC class II 領域のβ鎖対立遺伝子構成
- ポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動法による生および加熱肉の畜種鑑別
- デンプンゲル電気泳動法による肉種鑑別に有効な筋漿タンパク質の検索
- 二次元電気泳動法による馬乳蛋白質の同定分布図および泌乳期間における経時的変化
- 血液型および蛋白多型遺伝子頻度に基づく主成分分析による12豚品種の遺伝的関係の考察
- ネパール在来羊種の生化学的多型
- 生化学的変異に基づくバングラデシュ羊の遺伝的特徴
- マイクロサテライトDNA多型情報にもとづく日本鶏実用品種および欧米商用品種の遺伝的多様性と集団構造
- ネパールの水牛の乳蛋白多型
- ウシ血液型抗原に対するモノクローナル抗体の作製とその特性
- 国在来山羊における血液蛋白の遺伝子構成
- ヤギ赤血球抗原に対するモノクローナル抗体の作製とその有効性
- 血液型および蛋白質多型からみた黒毛和種2集団の遺伝的変異性
- 東亜の在来家畜に関する研究 : I. 東アジアにおける牛の血液型ならびに蛋白質の多型現象について
- ニホンウズラとニワトリの属間雑種に関する研究 : I. ウズラとニワトリの交雑種の作出
- Flow Cytometry Crossmatch (FCXM) B cell 陽性症例における移植腎臓成績について
- 中国雲南省の黄牛の乳蛋白変異
- 乳蛋白変異を用いたネパールのヤク,牛,雑種に関する集団遺伝学的研究
- タイ国における肉用ヤギ3集団の屠体成績と肉質
- タイトル無し
- ミトコンドリアDNAを用いた東南アジア在来ヤギにおける遺伝的多様性解析
- ミトコンドリアDNAを用いた東南アジア在来ヤギにおける遺伝的多様性解析