31P NMR法によるヤギ骨格筋の死後変化の非破壊計測
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概要
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生体総織のエネルギ-代謝状態に関する情報を破壊的かつ経時的に得ることが可能な31P核磁気共鳴法(NMP法)により,生理学的•生化学的特性を異にする2種類のヤギ骨格筋(棘上筋および大腿筋膜張筋)の屠殺後の高エネルギーリン酸化合物の消長を経時的に調べた.また,ウサギ,ブタなどの限られた動物の一部の骨格筋に存在することが報告されているglycerophosphorylcholine (GPC)がヤギの筋肉で見出せるかどうかを検討した.雌性ザーネン種成ヤギ(6頭)をペントバルビタール麻酔下に放血屠殺し,直ちに筋肉を採取した.筋肉を整形後,直径10mmのNMR試料管に挿入し,屠殺後1,2,3,4,5,6,正2および24時間の各時点で31P NMR測定を行ない,クレアチンリン酸,ATPの経時減少および細胞内pHの変化を調べた.測定はすべて25±1°Cで行なった.併せて,両筋の組織化学的特性の差異を明らかにするため,凍結横断切片を作成し,免疫および酵素組織化学的方法により筋線維型組成を明らかにした.主にI型筋線維(slow-twitch)から構成される棘上筋とII型筋線維(fast-twitch)優勢の大腿筋膜張筋では,屠殺後の高エネルギーリン酸化合物の経時減少に顕著な差が認められた.すなわち,棘上筋では大腿筋膜張筋と比べてクレアチンリン酸およびATPの減少•消失が早かった.限られた家畜のI型筋線維主体の筋で存在が報告されているGPCがヤギ棘上筋にも存在することが31P NMR測定により明らかとなった.大腿筋張筋ではこの物質は認められなかった.細胞内PHの低下パターンにも2種類の筋肉間で差が認められた.すなわち,屠殺直後と屠殺24時間後の時点では両者間に差がないものの,棘上筋の細胞内pH低下が早く,屠殺後2〜6時間の各時点で細胞内pHに有意な差が認あられた.
著者
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眞鍋 昇
京都大学農学部家畜生体機構学教室
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東 泰好
(財)環境科学総合研究所環境病理部門
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河合 文雄
(財)環境科学総合研究所
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金森 正雄
(財)環境科学総合研究所
-
宮本 元
京都大学農学部
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東 泰好
京都大学農学部
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眞鍋 昇
京都大学農学部
-
東 泰好
(財)環境科学総合研究所
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