コイの脳血流と心拍に及ぼす急性低酸素の影響
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概要
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低酸素時における脳血流量と心拍数を筋弛緩剤(d-塩化ツボクラリン4mg/kg)で不動化した体重約500gのコイを用いて水温23±1℃のもとで測定した。脳血流量は終脳表面でレーザードップラー組織血流計により計測した。軽度の低酸素下(呼吸水の酸素分圧が100と75mmHg)では,脳血流量も心拍数も実験開始時(通常状態)と変わらず一定であった。酸素分圧が25mmHg以下では脳血流量は通常状態に比べて有意に増大する一方,心拍数は有意に減少(徐拍)した。50mmHgのときには,徐拍になることなく脳血流量の顕著な増加を示す個体もみられた。さらに, 25mmHgの低酸素状態でも硫酸アトロピンの筋肉注射(1.2mg/kg)によって徐拍を伴わない脳血流量の増加が生じた。これらの結果から低酸素に対する反応のうち脳循環系における血流調節機構は,徐拍反応の基礎となる機構,すなわちムスカリン作働性のコリン受容体によって仲介される心臓の迷走神経反射とは異なることを示唆し,呼吸鎖の中で脳血液循環系の調節が徐拍を起こす前に働き始めることを示した。また,予備実験として低酸素に対する反応である脳血流量の増加は,α-アドレナリン受容体の阻害剤のメシル酸フェントラミンの筋肉注射(2mg/kg)で完全に消失することを示した。
- 1996-03-15
著者
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中村 聡一
近畿大学農学部水産学科
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中村 聡一
近畿大学農学部
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金森 正雄
(財)環境科学総合研究所
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金森 正雄
環境科学総合研究所
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吉川 弘正
(財)環境科学総合研
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松井 春樹
(財)環境科学総合研究所
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小林 博
近畿大 農
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小林 博
近畿大学農学部水産学科
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松井 春樹
近畿大学農学部水産学科水産生物学研究室
-
川合 文雄
(財)環境科学総合研究所
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吉川 弘正
(財)環境科学総合研究所
-
小林 博
近畿大学農学部
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