チャ生殖質の長期保存 : 種子と花粉
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概要
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チャの生殖質である花粉と種子の長期保存の可能性について試験を行なった。<BR>1976年に採集したチャ花粉は-80℃の超低温で12年間貯蔵することができた。<BR>種子の貯蔵では3種類の方法で検討を行なった。第1は5℃の低温下に0〜9年間貯蔵する方法,第2は-80℃の超低温に2日間貯蔵する方法,第3は13種類の有機溶媒中に19日間貯蔵する方法である。<BR>種子の低温貯蔵では,ポリエチレン袋に種子を密封し,5℃の低温条件で貯蔵すると9年間は健全な状態で保存できることが明らかになった。<BR>チャ種子を-80℃の超低温で2日間貯蔵した試験では,種子の含水量を貯蔵前に10〜13%に下げることにより一部の種子は生存し,発芽することができた。この結果からチャ種子は将来超低温で長期間貯蔵できる可能性が得られた。<BR>チャ種子を13の有機溶媒中で貯蔵した試験では,ヘキサン,シクロヘキサン中に貯蔵した場合を除き全く発芽しなかった。ヘキサンとシクロヘキサンに貯蔵したチャ種子は比較的高い発芽率を示し,ヘキサン中で92.9%,シクロヘキサン中で66.7%であった。しかしながら,これらの貯蔵でも1カ月間の貯蔵ではほとんど発芽しなかった。以上の結果からチャ種子は有機溶媒中では長期間の貯蔵は難しいと考えられた。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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武弓 利雄
農林水産省野菜・茶業試験場
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武田 善行
農業・食品産業技術研究機構野菜茶業研究所
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武田 善行
農林水産省野菜・茶業試験場
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池田 奈実子
農林水産省茶業試験場
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安間 舜
農林水産省野菜・茶業試験場
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武田 善行
農林水産省 野菜・茶業試験場久留米支場(枕崎)
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安間 舜
農林水産省北海道農業試験場
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