花器形態による緑茶用品種の識別と分類
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概要
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チャの花器の形態について年次,品種ならびに同一年次,品種内の花による変動を調べて識別に役立つ形質を明らかにし,これによって緑茶用品種め分類を試み,花器形態の新しい表示方法を提案した。<BR>品種間の変異では雌ずいの各形質の変異が大きく,年次間では花径の変異が大きいことから花の大きさに左右される雌ずい長(b+c),花柱非分岐部長(a)の変異が大きかった。分散分析の成分から推定した遺伝力は花径が0.460,花弁数0.342,花柱分岐数0.044,雌ずい長0.821,花柱非分岐部長0.840,花柱分岐点の深さ(a/(b+c)%)0.846であった。<BR>変異の大きい雌ずいの3形質一雌ずいの抽出度,花柱分岐点の深さ,花柱分岐部のくびれの有無一により緑茶用48品種・系統を分類した結果,特徴ある多くの型に分けることができた。<BR>また,分類された各型は次の記述法により表わした。まず,雌ずいの抽出度(L,M,S)を最初に書き,次に花柱分岐点の深さ(s,m,d)を続け,くびれの認められる場合は第2文字の右肩にダッシュ(",)をつける。<BR>この方法により混乱のみられている3つの品種について類似品種と明りように識別できることがわかった。このことから,花器形態の3形質による分類は品種の識別にもきわめて有効であることが確かめられた。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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武田 善行
農林水産省野菜・茶業試験場
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鳥屋尾 忠之
農林水産省茶業試験場枕崎支場
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武田 善行
農林水産省茶業試験場枕崎支場
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武田 善行
農林水産省 野菜・茶業試験場久留米支場(枕崎)
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鳥屋尾 忠之
農林水産省茶業試験場
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