チャの裂傷型凍害の特徴と発生を左右する気象条件
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概要
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チャの裂傷型凍害は,南九州を中心に,各地のさし木苗や幼木で多発している。そこで,最近の被害の実態を調査し,あわせて発生地と非発生地のほ場気温を比較して,発生しやすい気象条件を明らかにした。<BR>1)裂傷型凍害の発生時期は,おもに秋の生育停止期前後の初霜時で,定植当年か2年生の幼木の地際の幹の皮層が縦に割れ裂傷が生ずるのが特徴である。被害の軽い場合にはカルスが形成されて回復するが,裂傷が大きい場合には,日数がたつにつれて,樹勢が衰え枯死する。<BR>2)裂傷型凍害発生後の治ゆ経過を観察したところ,凍害発生時の症状には,(1)地際の幹に裂傷を生ずる。(2)木部と皮層が遊離しているが裂傷はみられない。(3)皮層の一部に褐変を生ずるの3型に区分され,(2)と(3)はフロストリングとなって残ることがわかった。<BR>3)厳寒期の寒害と裂傷型凍害はともに幼木に集中する。その理由は,(1)幼木の根張りが悪いこと,(2)成木のように葉層によって幹基部が保護されていないこと,(3)秋芽の年間の生長量に対する相対的な生長量が成木に比べて大きく,耐凍性の獲得が遅れることの三点に要約される。<BR>4)発生地(知覧)と非発生地(枕崎)の気象は,晴天日の最低気温(敷わら上5cm)で知覧が6℃以上も低く,夜間の冷え込みが著しいことになり,これが知覧での裂傷型凍害発生の原因と考えられた。<BR>5)敷わらは裸地に比べ日最低気温を低くし,夜問の地温の低下を防ぎ,特に最低気温の低下する晴天日にこの効果が著しい。従って,敷わらは,土壌水分の保持と,霜日の地際の気温を下げ,逆に地温を上げるため裂傷型凍害を助長していることがわかった。また,発生の多い年度ならびに場所の気温の推移は,初霜前10日間の最低気温の高いことが指摘された。
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