ホルスタイン種去勢牛の放牧後の肥育期間中における最長筋の発育について
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概要
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放牧終了後のホルスタイン種去勢牛7頭を実験に供試し,このうち3頭を100日間,4頭を200日間それぞれ肥育した.屠殺解体後,右半丸より最長筋を採取し,胸椎および腰椎の各脊椎長に切断し試料とし,各部位の重量および切断面の面積を測定した.さらに各部位について理化学的分析をおこなった.肥育100日から200日における最長筋の長さの増加割合は2.4%であったのに対し,重量の増加割合は22.9%と顕著であった.この間における重量の増加した主な部位は胸椎の10番目から腰椎の5番目にかけてであった.第13番目の胸椎および第1番目の腰椎の切断面が他の部位と比較して大きかった.各部位の粗脂肪含量は肥育100日から200日にかけて,2から4%に増加した.第10胸椎から第4腰椎における粗脂肪含量が他の部位に比較して少ない傾向が見られた.肥育100日から200日における第4胸椎から第9胸椎における粗脂肪含量の増加率は2.12倍で,第10胸椎から第4腰椎のそれは2.08倍であった.この肥育期間中の,脂肪蓄積は両者間でほとんどかわらなかった.一方,同じ部位における筋肉の増加率は,前者が1.05倍に対し,後者が1.22倍と両者間で異なっていた.このことは筋肉内での成長速度の相違が筋肉内の脂肪分布の相違をもたらすことを示すと考えられる.肥育100日後におけるshear valueは6-19lb/cm2と部位間で著しい相違がみられた.第11胸椎の部位が最も高いshear valueを示した.一方,肥育200日のもののshear valueは5〜8lb/cm2と減少した.このことから放牧後の牛はよりやわらかい肉を得るためには,約200日間の肥育が必要と考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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