山地放牧がホルスタイン種去勢牛の筋線維の型および太さに及ぼす影響
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概要
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山地放牧が牛の筋線維の型および太さに及ぼす影響を知るために,30頭のホルスタイン種去勢牛の3つの筋肉(上腕三頭筋,胸最長筋および半腱様筋)を供試した.試験牛は育成期間中に舎飼牛(13頭)と放牧牛(17頭)に分け,舎飼牛は屠殺まで牛舎(海抜約300m)で濃厚飼料および粗飼料飽食で育成•肥育した.一方山地放牧牛は約1000mの放牧地で約200日間放牧し,放牧後舎飼牛と同じ所で同様の条件で肥育した.これらの牛は100日間隔で数頭ずつ屠殺解体した.筋線維は酵素組織学的にNADH-diaphorase反応によって赤および白色筋線維に分類した.結果は次の通りであった.上腕三頭筋は赤色筋線維の割合がもっとも多く,次は胸最長筋であった.山地放牧牛の赤色筋線維の割合は肥育期間中に減少し,舎飼中のそれは成長とともに増加の傾向を示した.前者の赤色筋線維の割合は後者のそれより全般的に多い傾向が見られた,太さに関し,両群とも3筋肉の白色筋線維は赤色筋線維より太く,半腱様筋の両筋線維は他の筋肉のそれより太かった.両筋線維の太さは成長とともに直線的に増加し,両筋線維間の太さの差は両群とも同一体重で比較すれば,育成•肥育期間中とも同じであった.筋肉と筋線維の太さの成長に関して,両群の間で若干の差が見られた.肥育後において山地放牧牛の背最長筋は舎飼牛のそれと比較した場合,筋肉が大きくより細い筋線維より構成されている傾向が見られた.これらの結果から山地放牧は筋肉の性質に影響を及ぼすことが明らかであり,肉質の改善に役立つものと期待される.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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