ペプトンの製造に関する化学的研究 : 第II報 パンクレアチン作用の試験
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概要
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蛋白質消化液の滴定に於ける基準の異なるのは苛性ソーダによる呈色点がカゼインと血液蛋白質とで同じでないからである。血清蛋白質が消化し難いのは血清にアンチ•トリプシン3)が存在するためであらうと思われる。アンチ•トリプシンは60°C以上に熱するとこわれるので加熱処理したものは消化され易くなると云う報告4)もある。これを要するにパンクレアチンによる消化の最適条件は蛋白質によつて多少の相違はあるが,温度はカゼイン50〜55°C,フイブリン50°C,血清蛋白質45〜50°C,であり,pHはそれぞれ7.6〜8.2,7.2〜7.4及び7.8である。なおカゼイン,血液蛋白質の何れも基質濃度の増加と共に一定時間内の溶解度及び消化量は減少する。試料蛋白質溶液に酵素を加えて最適反応に調整し,40°Cに於て消化を行つた結果によるとカゼインは12時間でペプトン量が最高となり全窒素量の39%,フイブリンは48時間で37%に達し,また残余窒素量はカゼイン,フイブリンともに48時間で最高値42%内外であつたが,血清蛋白質は極めて消化し難くペプトン量は9%弱にすぎない。工業的にペプトンを製造するには40〜50°Cに於て20時間位最適反応を維持するように適宜に調整して48時間程度の消化を行うのが適当と考える。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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