獣毛の水分吸着量と温度および湿度との関係について
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概要
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各種獣毛について,所定条件(温度および湿度)における水分吸着量の増加および減少を実験し,3つの環境因子との関係について比較検討を加えた。1) 最高温度および最低温度は,ともに相対湿度と負の相関をなすが,有意ではない。2) 最低水分吸着量の低い獣毛は,その最高水分吸着量も,他の獣毛に比して低い。逆に最低値が高い獣毛は,また最高値も高かつた。3) 最高温度,最低温度および相対湿度と水分吸着量の関係を明きらかにするため,一次回帰式を設定し,回帰係数,誤差の標準偏差および回帰の有意性を算定した。4) 回帰係数の相違は,獣毛構造の相違にもとずく水分吸着量の相違をあらわしている。温度のうち,最低温度は水分吸着性とほとんど関係がない。最高温度は,各種獣毛とも負の相関をなすが,有意の関連ではない。湿度は正の相関を示し,緬羊毛,双峰駱駝毛および犬毛は,明きらかに有意の関連を示し,家兎毛および大黒鼠毛がこれに準じている。しかし豚毛(支那種およびバークシヤー種)はもつとも相関性に乏しい。5) 誤差の標準偏差および回帰の有意性から,獣毛の水分吸着および離脱が,上記3つの環境因子の変動に対して一次関係で反応するものではなく,きらに高次の回帰関係をとり入れるか,別の因子を考慮する必要のあることが明きらかにそれた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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