みその香気成分と官能評価の解析
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概要
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Aroma concentrates were prepared by absorbing aroma compounds to porous polymer and eluting them with ether from 48 kinds of rice miso which were exhibited at the 32nd National Miso Competition. Aroma concentrates were analyzed by gas chromatography (GC) and GC-mass spectrometry (MS), and concentrations of the selected 92 peaks were used as variables for statistical analyses. These rice miso were evaluated and classified to three classes by sensory test. The compound having the highest correlation coefficient between the variables and sensory scores was HEMF (4-hydroxy-2 (or 5)-ethyl-5 (or2)-methyl 3 (2H)-furanone). By the stepwise discriminant analysis of 46 major peaks, HEMF was also selected by step l and evaluated as the most contributing compound. From these results, HEMF was considered to contribute remarkably to sensory evaluation and classification. Fourteen peaks were selected by the stepwise discriminant analysis. The 14 peaks variables were able to explain on 76% of the total variation. Using the 14 peaks variables, all rice miso were classified correctly into three classes by canonical discriminant analysis.全国味噌鑑評会において,審査員により香りについて官能評価され,これをもとに3段階にランクわけされた多種類の米みそを試料とし,ポーラスポリマーを用いて香気濃縮物を調製した.この香気濃縮物のGC分析によって検出された92成分の含有量と官能評価の関係について統計的解析を行い,官能評価に深く関与する香気成分や米みそがクラスわけされる時に重要な役割を持つ香気成分の特定を主目的に検討した.(1) 官能評価の点数と最も相関が高かった香気成分はHEMFであり,米みそにとって重要な香気成分であることが明かとなった.またHEMFをはじめとして有意に相関の高かった香気成分はほとんどが先の研究でみそ熟成中に生成することが確認された成分であった.(2) クラスわけに関与する香気成分をt検定で検討したところ,有意差のある香気成分はクラス1と2では5%以下の危険率でも2-Phenyl-2-butenalのみであったが,クラス2と3では1%以下の危険率で5種存在した.(3) 含有量の高かった46成分を用いて,クラスわけに有効なピークを逐次変数選択法による判別分析を行い,検討した.この時,ステップ1で選択されたピークはHEMFで, 3種の識別には最も有効な成分であることが判明した.また,ステップ2ではmeso-2, 3-butan-diolがステップ3では2-phenyl-2-butenalが選択された.また,この方法で選択された14成分で全変動の76%が説明できることが判明した.(4) 逐次変数選択法による判別分析で選択された14成分を用いて正準判別分析を行い,各成分の正準判別係数を求め,正準判別変量の有意性を検定した結果,有意となり,判別分析が有効であったことが示された.(5) t検定や正準判別分析などの結果からクラス1, 2を構成している各香気成分の濃度の違いに比較して,これらとクラス3の香気成分の濃度の違いが大きいと考えられた.
- 社団法人 日本食品科学工学会の論文
- 1992-12-15
著者
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