X線回折法による吸湿ジャガイモデンプンの結晶化度と飽和水分状態の関係について
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概要
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著者らはX線回析法により湿潤セルロース及びジャガイモデンプンの結晶化度を測定し,それらの結晶化度から計算された水分量によって飽和水分状態を決定した。 1. セルロース及びジャガイモデンプンの湿潤試料のX線回析図において,2θの4°(8°)と 37°における反射強度の両点を直線で結び,分けられた上部 (ac+aa) は結晶部及び非晶部の相対反射強度成分である。そして2θの4°から 37°までの反射強度の谷を滑らかな曲線で結んで分けた上部 (ac) は結晶部に相当し,下部は非晶部に相当する。 2. X線回析図における結晶領域 (ac) の結晶及び非晶領域 (ac+aa) に対する比は結晶化度と考えられる。 3. セルロースの結晶化度は風乾物で0.68,湿潤物で0.72±0.02であった。その飽和水分量は28%で,遠心法でのpF 3.93 で得られた。 4. ジャガイモデンプンの結晶化度は風乾物で0.24,湿潤物で 0.32±0.03 であった。その飽和水分量は49%で,その飽和水分状態は蒸気圧法で30日,遠心法でpF 4.20 の処理で得られた。The authors measured the crystallinity of moistened cellulose and potato starch by the X-ray diffraction method and determined the water saturated state by means of the moisture contents calculated from their crystallinity. 1. In the X-ray diffractograms of the moistened samples of cellulose and potato starch, the upper area (ac+aa) which was separated by the straight line joining the points of intensity at 37°and 4°(8°) of 2θ was the relative reflection area in the crystalline and amorphous portions. The under area was the back ground of the non-relative reflection area. The upper area (ac) separated by the smooth curve joining the minimum intensity at 4° to 37° of 2θcorresponded to the crystalline portion, and the under area corresponded to the amorphous one. 2. The ratio of the crystalline portion (ac) to the sum of the crystalline and amorphous portions (ac+aa) in the X-ray diffractogram was considered to be crystallinity. 3. The crystallinity of the air dried and the moisture saturated samples of cellulose were 0.68 and 0.71±0.02, respectively. The saturated moisture content of cellulose was 28% and the saturated state was given by the centrifugal method at pF 3.93. 4. The crystallinity of the air dried and water saturated samples of potato starch were 0.24 and 0.32±0.03, respectively. The saturated moisture content of potato starch was 49% and the saturated state was given by means of the vapor process for 30 days and the cetrifugation at pF 4.20.
- 三重大学農学部の論文
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