＜原著＞わが国の聾学校における学校図書館の導入とその背景　：　１９２０年代～１９５０年代を中心に

概要

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本稿は､聾学校において学校図書館が構想され導入された経緯を検討し､当初考えられていた学校図書館の意義や役割を明らかにすることを目的とした｡検討の時期は､学校図書館の導入が議論され始める1920年代から学校図書館法制定により設置が義務化される1950年代を中心とした｡戦前期､聾唖学校への学校図書館の導入は､口話の基礎能力の一つである読書力の養成のための一方法として構想されたのであった｡東京聾唖学校では早くから学校図書館が設置されていたが､多くの聾唖学校では財政的事情等から導入されるには至らなかった｡学校図書館が全校に導入を見るのは､戦後､学校図書館法による設置義務化に伴ってであった｡同時に､聾教育界において､学校図書館に関する議論が盛んになり重要視された｡しかし､司書教諭の不在や経費の不足から学校図書館の整備は思うように捗らなかった｡また学校図書館は多くの聾学校で教育課程上に位置づけられていなかったため､その活用は教師の考え方如何によって大きく異なっていた｡