1910年代までのアメリカにおける精神薄弱者の断種とコミュニティ生活への復帰 ; コミュニティ生活の再生過程とその背景(2)
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概要
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精神薄弱問題は、20世紀初頭には社会全体の公共的問題に擬せられるとともに、諸科学、なかでも優生学が問題解決に貢献する。1910年代に、19世紀末以来の隔離政策に加えて施行されるコミュニティ生活と断種の関係を、断種数が国内で最も多く実施されたカリフォルニア州で検討した。その結果、州立精神薄弱者施設における過密と入所需要、州資金の不足および精神欠陥発生予防の必要性という現実的状況に対する具体的で有効な対応として、断種が軽度級の仮退所者に実施され、コミュニティ生活が実現したことが究明された。この経営方針の背後には、遺伝的病因論を信奉する優生学志向の州幹部と専門家の存在があった。また、F.O.バトラー施設長は、断種の効用として、生殖防止だけでなく、心身および行動の改善を認めた。
- 筑波大学の論文
- 1999-04-08
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