埼玉県衛生研究所のノロウイルス感染症対策活動について
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概要
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埼玉県衛生研究所では,2004〜09年度にかけて地域保健推進特別事業として,ノロウイルス感染症対策活動を行った.活動は,ウイルス担当と感染症疫学情報担当の連携により,ノロウイルス感染症を取り巻く社会的な変遷に合わせながら進めた.ウイルス担当では,主に遺伝子解析手法及び食品からの検出法の検討を行ってきたが,今回は疫学情報分野に関連する内容について概要を報告する.文献収集及びデータベース化;Microsoft Accessを用いてデータベース化した.文献事例の解析;1990年〜2004年に発行された文献の解析結果は,食品媒介事例多かった.国内の食品媒介事例31事例では,16.1%が調理従事者に起因し,32.2%が関連性を示唆するものであった.2004年以降に発行された文献では,2003/04年シーズン以降は,感染症事例が食中毒事例よりも多かった.調理従事者調査票の作成と事例への適用;「調理従事者調査票」を作成して,2事例のノロウイルス感染症事例に適用した.アウトブレイク調査法の検討;国立感染症研究所のマニュアルに記載されている「疫学調査の流れ」に対応させた調査票を作成した.アンケート調査;2008年6月〜 10月にノロウイルス食中毒のキーパーソンである調理従事者の衛生意識と行動に関するアンケート調査を行った.学校給食施設及び保育所関係者の衛生意識及び行動は概ね良好であった.2009年6月に,感染症に関する研修会に参加した社会福祉施設職員を対象に吐物処理及び消毒に関するアンケート調査を行った.社会福祉施設職員の吐物処理経験が多かった.また,2回のアンケート結果から,共に消毒薬についての知識等は不十分であることが明らかとなった.リーフレットの作成と研修会の実施;手洗い,吐物処理そして消毒薬の作り方,特に吐物処理を具体的に例示したリーフレットを作成した.外部専門家を招いた講演を6回開催した.ノロウイルス感染症の多発シーズン前に社会福祉施等職員を対象として,手洗いや吐物処理の実技を含む研修会を5回実施した.
- 国立保健医療科学院の論文
著者
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尾関 由姫恵
埼玉県衛生研究所
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斎藤 章暢
埼玉県衛生研究所
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山田 文也
埼玉県衛生検疫所
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岸本 剛
埼玉県衛生検疫所
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渡邊 悦子
埼玉県衛生研究所感染症疫学情報担当
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安藤 紗絵子
埼玉県衛生研究所感染症疫学情報担当
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川本 薫
埼玉県狭山保健所生活衛生・薬事担当
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白石 薫子
埼玉県衛生研究所感染症疫学情報担当
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岸本 剛
埼玉県衛生研究所感染症疫学情報担当
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尾関 由姫恵
埼玉県衛生研究所感染症疫学情報担当
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斎藤 章暢
埼玉県衛生研究所感染症疫学情報担当
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