要防除木特定のためのマツノマダラカミキリ生息確認調査 : はしごによる樹幹調査の有効性と限界
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概要
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寒冷地では,マツ材線虫病の病徴進展の遅れのためマツの衰弱・枯死時期と媒介昆虫マツノマダラカミキリの成虫発生時期にずれが生じ,マツノマダラカミキリに産卵された枯死木と産卵されない枯死木が混在する。このような枯死木から材線虫病の感染源となる媒介昆虫生息木(要防除木)を選別する方法として,はしごを用いて樹幹上部約10mまでのマツノマダラカミキリの生息状況を調査し,その有効性を検討した。はしごを用いた調査によりクロマツ・アカマツ枯死木の65.9%にマツノマダラカミキリの産卵痕またはフラスを検出した。クロマツでははしごを用いて樹幹の上部まで調べないとマツノマダラカミキリの生息が確認できない場合が多かった。一方,はしご調査でマツノマダラカミキリの生息が確認できなかったクロマツ枯死木を伐倒したところ,その35.7%にはしごで到達できるよりも上部でマツノマダラカミキリの生息が確認され,そのような部分から採取した丸太から翌年夏に材表面積1m^2あたり10頭以上の成虫が発生する場合があった。以上から,はしご調査は,すべての要防除木を検出できるわけではないものの,要防除木選別に有効な手段であると結論した。
- 東北森林科学会の論文
- 2010-09-30
著者
-
中村 克典
森林総合研究所東北支所
-
太田 和誠
秋田県立大学生物資源科学部
-
星崎 和彦
秋田県立大学生物環境科学科
-
太田 和誠
西武造園株式会社
-
田代 隼人
共立航空撮影株式会社
-
中村 克典
広島大学総合科学部自然環境研究講座:(現)森林総合研究所九州支所
-
長岐 昭彦
秋田県農林水技セ 森林技セ
-
長岐 昭彦
秋田県農林水産技術センター森林技術センター
-
小澤 洋一
岩手県林業技術センター
-
高橋 健太郎
岩手県農林水産部森林整備課
-
板垣 恒夫
森林航測研究
-
星崎 和彦
秋田県立大学
-
板垣 恒夫
共立航空撮影株式会社
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