秋田・岩手両県におけるツキノワグマの春季有害捕獲数変動に影響する要因
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概要
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ツキノワグマ(Ursus thibetanus)の人里域への出没に伴い有害捕獲数が増加するのは主に夏から秋であるが,冬ごもり解除直後から初夏(4〜6月)にかけて有害捕獲数が他年より多い年がある.本研究では,この時季の有害捕獲数の変動の予測を可能にするため,秋田,岩手県における有害捕獲数の変動に雪解けのタイミング(消雪日)と前年のブナの豊凶程度がどの程度影響しているかについて解析をおこなった.重回帰分析の結果,秋田県では4〜6月の有害捕獲数と消雪日の間に有意な負の相関が確認されたが,他は認められなかった.秋田県では,雪解けが早い年には,春から夏にかけて有害捕獲数が多い可能性があり,住民にクマと遭遇する危険性についての注意を促すことが必要と考えられた.一方,岩手県ではこの要因では有害捕獲の多寡を説明することはできなかった.
- 2010-06-30
著者
-
星崎 和彦
秋田県立大学生物資源科学部
-
OKA Teruki
Forestry and Forest Products Research Institute
-
岡 輝樹
森林総合研究所
-
星崎 和彦
秋田県立大学生物環境科学科
-
Oka Teruki
Tohoku Research Center Forestry And Forest Products Research Institute
-
Oka Teruki
Kyoto University
-
Oka Teruki
Tohoku Regional Center Forest Research Institute (ffpri)
-
根本 唯
東京農工大学農学府
-
根本 唯
東京農工大学農学府自然環境保全学専攻野生動物保護学研究室
-
Nemoto Yui
Tokyo University Of Agriculture And Technology
-
星崎 和彦
秋田県立大学
-
根本 唯
東京農工大学大学院連合農学研究科野生動物保護学 研究室
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