高血圧症治療者における重大疾患罹患リスクと生命予後
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概要
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当社新契約集団(死亡保険および特定疾病保険)における医師扱無条件体をコントロールとして,同じく医師扱で第1傷病(欠陥)コードに高血圧症治療中の入力のある集団の重大疾患罹患リスクとその生命予後を調査した。対象の経過契約件数は,死亡保険217,384.2件(58.3±9.0歳),特定疾病保険56,294.3件(53.6±9.0歳),給付件数は,それぞれ859件,557件であった。死亡指数は,99%(95%信頼区間92%-105%)と無条件体とほぼ同水準であった。死因別では,心疾患166%(同136%-197%),脳血管疾患171%(同137%-204%)と,関連性の高い両死因が,有意に増加していたものの,悪性腫傷は,80%(同73%-88%)と有意に減少しており,前2者の超過分を相殺していた。特定疾病保険の給付指数は,129%(同118%-139%)であった。事由別では,心疾患172%(同124%-220%),脳血管疾患225%(同181%-269%)に加え,悪性腫傷も118%(同106%-130%)と,有意な増加を認めた。悪性腫傷による超過は,全体の超過の約半分(13.2%/28.6%)を占めた。生前給付事由別の死亡指数:給付指数は,心筋梗塞156%:158%,くも膜下出血155%:158%,脳(内)出血221%:210%と,比較的近い値を示したが,脳梗塞では,137%:272%と罹患に比し死亡が少なく,悪性腫傷と類似の所見を示した。保険加入者における高血圧症治療者の重大疾患の罹患は,脳血管疾患・心疾患のみならず,悪性腫傷を含めて有意に増加しているものの,全死亡率では,無条件体と同程度になっていた。その要因として,脳梗塞,特に悪性腫傷の罹患後の予後が,相対的に良好であったことが考えられ,背景には,定期的受療の効果や医療に対する性向が関わっているものと推測された。
- 2012-03-17
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