敗血症に対する静注用免疫グロブリン製剤の有効性の検討
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概要
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今回、我々は当救命救急センターへ搬送された敗血症症例を対象にIGF-1の産生効果や重症度改善効果などを各種免疫グロブリン製剤間で比較検討し、その有用性について比較検討した。 可溶性E-selectin(soluble E-selectin :SES)濃度の高値な敗血症症例に対し、乾燥スルホ化人免疫グロブリン群(5g/day:3日間)(S群)26例、intact型人免疫グロブリン群(5g/day:3日間)(I群)16例、非投与群(C群)21例の3群に分け、投与前(第0日)、投与後1、3、5、7病日のIGF-1濃度を定量し、敗血症の重症度としてSOFA score、呼吸器装着期間などを比較検討した。その結果、IGF-1値は、S群において第7病日において、第0病日の値に比して有意な上昇を認めた(P<0.05)。しかし、他の2群については経時的にIGF-1値の顕著な上昇は認められなかった。また、第7病日の各群における血中IGF-1値について比較したところ、S群は他の2群に対し、有意差をもって高値を呈した(P<0.05)。さらに、各免疫グロブリン投与に伴うSOFA scoreの変化について比較検討した。その結果、S群では、統計的有意差はないもののI群に比較し、第7病日で減少を認めた。また、各群の生存例に対し、人工呼吸器装着期間について、検討した。S群は、I群とは有意差こそなかったが、人工呼吸器装着期間の短縮を認めた。一方C群に対しては、有意差をもって人工呼吸器装着期間の短縮が認められた(P<0.05)。尚、3群を比較した場合、第28日病日死亡率については有意差はみられなかった。 以上より乾燥スルホ化人免疫グロブリンは、IGF-1の産生を亢進させ、抗炎症作用を発揮することにより敗血症治療において治療効果が期待される。
- 2011-06-25
著者
-
仁科 雅良
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
佐藤 孝幸
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
出口 善純
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
須賀 弘泰
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
須賀 弘泰
東京女子医科大学
-
須賀 弘泰
福井医科大学 救急部
-
須賀 弘泰
東京女子医大第二外科
-
出口 善純
福井医科大学 救急部
-
出口 善純
東京女子医科大学
-
中川 隆雄
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
中川 隆雄
東京女子医科大学 救急医学
-
中川 隆夫
福井医科大学救急部
-
仁科 雅良
東京女子医科大学東医療センター 救命救急センター
-
佐藤 孝幸/出口
東京女子医科大学東医療センター救急医療科/東京女子医科大学東医療センター救急医療科/東京女子医科大学東医療センター救急医療科/東京女子医科大学東医療センター救急医療科/東京女子医科大学東医療センター救
-
佐藤 孝幸
東京女子医科大学東医療センター救命救急センター
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