致死量の急性カフェイン中毒に対して血液吸着療法が奏功した1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【緒言】致死量の急性カフェイン中毒に対し、血液吸着療法にて著明なカフェイン血中濃度の低下を認め、救命可能であった症例を経験したため報告する。【症例】症例は29歳男性。自殺目的に市販のカフェイン製剤計102錠(カフェイン量10.04g)を内服した。来院時、頭痛、嘔気を訴え不穏状態で、バイタルは血圧167/100mmHg、心拍数75回/分、呼吸数16回/分、SpO2 100%(RA)であった。状況から急性カフェイン中毒による不穏、頭痛、嘔気と考えられたため、ミダゾラムによる鎮静を行い、気管挿管、人工呼吸管理とした。入院後、カフェイン合計10.04gと致死量(5〜10g、150〜200mg/kg)を内服していると考えられたため、血液吸着療法(DHP)を含めた集学的治療を行った。鎮静を終了したところ、意識清明であったため抜管し、入院3日目に独歩退院となった。後日判明したカフェイン血中濃度は、来院時95.0mg/l(中毒域≧30、致死量70〜80mg/l)と高値であったが、DHP終了後は15.6mg/lまで低下していた。【結論】カフェインが致死的薬物であるという認識を持つとともに、致死量の中毒が疑われた場合には血液吸着などの血液浄化療法を早期に実施することが重要と考えられる。
- 2013-08-25
著者
-
佐藤 孝幸
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
増田 崇光
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
佐藤 孝幸
東京女子医科大学東医療センター救命救急センター
-
小林 利道
東京女子医科大学東医療センターME室
-
篠原 潤
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
安藤 大吾
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
坂梨 洋
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
春日 紀子
東京女子医科大学東医療センター卒後臨床研修センター
-
高橋 宏之
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
磯谷 栄二
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
-
小林 利道
東京女子医科大学東医療センター救急医療科
関連論文
- 蜂刺創による多臓器不全の1例
- 意識障害で搬送された入浴事故76症例の検討
- 心肺停止をきたしたTraumatic Asphyxiaの1救命例
- 心肺停止をきたしたTraumatic Asphyxiaの1救命例
- 敗血症性ショックと播種性血管内凝固症候群を合併した気腫性膀胱炎の1例
- 敗血症に対する静注用免疫グロブリン製剤の有効性の検討
- 高血液流量(300ml/min)、APS-25SA使用時において透析流量を増加させたときの溶質除去効率 (日本血液浄化技術学会第36回学術大会 発表論文集)
- 大量出血をきたした小腸潰瘍の1例
- Extracorporeal membrane oxygenationにより救命しえた新型インフルエンザによる呼吸不全の1例
- A Case of Multiple Organ Failure Due to a Bee Sting
- 致死的大量服薬から救命し得た急性カフェイン中毒の2例
- 単純血漿交換療法における新たな方法 : FFP透析法の考案
- 急性薬物中毒から敗血症に至り回復期に人工呼吸器離脱困難を来したCritical illness polyneuropathy(CIP)が疑われた1例
- 喀血をきたした肺動静脈瘻の1例
- 致死量の急性カフェイン中毒に対して血液吸着療法が奏功した1例
- 致死量の急性カフェイン中毒に対して血液吸着療法が奏功した1例
- 十二指腸静脈瘤破裂の1例
- 腰椎椎体椎間板炎,腸腰筋膿瘍,髄膜炎を合併したKlebsiella pneumoniaeによる肝膿瘍の1例