生活用具としての椀の物理的特性 : 伝統的工芸品・椀に関する研究(5)

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概要

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伝統的工芸品としての椀が有する物理的特性を,生活用具の観点から解明することを試みた。検討は,強度・硬度・温度の各特性,電子レンジ加熱に対する耐久性に対して実施し,工業製品との対比において検討した。得られた結果は,以下のように要約できる。(1)強度特性は,ヒューマン・スケールに立脚した,生活用具としての特性を有している。(2)漆塗膜の硬度特性は,素地の材質や下地処理が関与する。(3)椀に注いだ湯温の変化は,工業製品と同じ挙動を有する。伝統的工芸品における湯のさめにくさには,湯温と胴温より設定した感覚的温度が関与している。(4)椀の本体部分は,電子レンジ加熱に対して最適な形状を有している。しかしながら,高台の付け根部分への電砥波の集中,漆塗膜のガラス転移点温度,下地処理,木地の多孔質構造等が関与して,その耐久性は劣る。
1989-03-31

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