椀を事例とした物質文化研究の視座と領域 : 伝統的工芸品・椀に関する研究(1)

スポンサーリンク

概要

論文の詳細を見る
本小論は,古くより日本人の生活と深いかかわりをもっている椀を事例として,デザイン学における「生活用具研究」の全体像を明らかにしようとしたものである。その結果,筆者は次の諸点を明らかにした。(1)デザイン学における生活用具の研究領域は,大きくは,生活用具の様式に関する研究,生活用具の使用に関する研究,生活用具の心意・価値に関する研究の三つに分類することができる。(2)これら三つの領域はハードからソフトに至る研究として位置付けられる。すなわち,前者は数理的計量が容易ではあるが,後者は,いわば人びとの心のなかの生活用具を実態化することであるから,必ずしも数理的計測が可能とはいえない。(3)また,それぞれの研究課題はその過程においては個々分節的に進められつつも,最終的には,生活用具の計画と設計,換言すればよりよい生活を築くための生活用具のあり方に関する指針を明示することに向けて統合されていくべきものである。
日本デザイン学会の論文
1989-03-31

著者

関連論文

もっと見る

スポンサーリンク