「文化」としてのデザイン : デザインの原像構築に向けて

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概要

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本稿は,筆者らの考える「文化」概念を明らかにし,その視座から,「豊かな時代」と呼ばれる今日に生起しているデザインの諸問題について論述したものである。本稿において筆者らが提起した論点は,主に,次の三点である。(1)「便利さ」「快適さ」という基準を第一義に据える「文化」の追求から脱却すること,すなわち,従来のものづくりにおいて向けられてきたHOW(いかにして),WHAT(何を)の価値観にWHY(何ゆえに)を加えていくことの重要性。(2)デザインの存在基盤はデザイナーやデザイン研究者たちが「あるべき生活」に対して強い関心を有することにあるが,そのためには,「ある生活」における問題発見を必然とし,同時に,「あった生活」への深い認識を必要とすること。(3)上記(1)および(2)を充足していくためには,デザイナーおよびデザイン研究者たちの不可欠な基盤として,「文化」についての理解と洞察力がなくてはならないこと。
日本デザイン学会の論文
1987-03-31

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