有明海・諫早湾堆積物表層部に残された渦鞭毛藻シスト群集からみた水質環境の中長期的変化(シンポジウム:沿岸海洋学からみた有明海問題)
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概要
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有明海・諫早湾の水質,特に栄養塩の中長期的変化を諫早湾と調整池から採取した2本の柱状試料(ARK-St.3;32°53'00"N,130°11'22.1"E,水深約7m;試料長100cm及びIRP-St.2;32°52'00.7"N,130°09'30.7"E,試料採取時の水深1.9m;試料長82cm)中の渦鞭毛藻シスト群集変化から推察した.柱状試料の堆積年代は^<210>Pb濃度測定から得られる平均堆積速度に基づいて推定した.その結果,ARK-St.3の平均堆積速度は0.58cm/年で,最下部の堆積年代は1850年頃を示しており,IRP-St.2では-25cm層準で変化があり,その上部が1.3cm/年,下部が1.6cm/年で,最下部の堆積年代は1930年頃と考えられた.渦鞭毛藻シスト数は両試料とも1960年代後半以降に急激に増加し,また従属栄養種シストも同じ頃に増加した.独立栄養種を含む渦鞭毛藻シスト数が増加すること,さらに従属栄養種シストが増加することは餌料となる珪藻や独立栄養性渦鞭毛藻の増加を反映していると考えられることから,このような群集組成の変化は水質,とりわけ1960年代後半以降の栄養塩の増加を反映していると推察される.
- 日本海洋学会の論文
- 2004-08-25
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