バラスト水による有害海洋プランクトンの移動と生物海洋汚染の広域化 : オーストラリア・タスマニアの例
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概要
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近年,有毒物質生産生物や赤潮形成生物として知られる渦鞭毛藻や珪藻などの植物プランクトンが,本来の生息域を越えて拡散する傾向が各地で指摘されている.オーストラリアのタスマニア沿岸では有毒プランクトンの一種Gymnodinium catenatum Grahamによる赤潮が1986年に突然に発生し,既存の生態系を攪乱するのみならず,養殖漁業にも多大の被害を与えたことから,この種の拡散過程が詳細に追及されてきた.その結果タスマニア沿岸のG.catenatumは粗積み貨物運搬船のバラスト水に紛れて,オーストラリア国外から人為的に移入されたと推定されている.日本とオーストラリアには多数の粗積み貨物運搬船が往来しており,貨物運搬船のバラスト水や堆積物からG.catenatumやAlexandrium tamarenseなどのシストが混在しているとの報告もある.小論ではタスマニアでの研究を解説すると共に,有害プランクトンの人為的移動を防ぐための研究の現状を紹介する.
- 日本海洋学会の論文
- 1993-02-28
著者
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