一側・両側静的最大握力の若年者と高齢者との比較 -両側性機能低下に着目して-

概要

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過去の報告において両側の腕や脚を同時に動かそうとすると,筋力も反応速度も最大能力を発揮しようとしているにもかかわらず,それぞれの腕や脚の能力が一側を単独に動かしたときに比べて低下することが両側性機能低下として報告されている。この両側性機能低下についての検討は,若年者を対象とした報告が多く,高齢者を対象とした両側性機能低下を検討した報告は少ない。したがって,両側性機能低下が年齢差に及ぼす影響についは明確ではない。そこで今回,若年者と高齢者を対象とし,静的最大握力を一側単独条件と両側同時条件を測定し,両側性機能低下のメカニズムを考慮に入れ,比較検討したので報告する。若年者群・高齢者群ともに右側測定値において両側性機能低下現象が認められた。また,両側性機能低下の指標として用いられるBL/UL Ratioは,若年者群と高齢者群の比較では,左右合計値と右側測定値において高齢者群で有意に低値を示した。これは,高齢者群の方がより顕著に両側性機能低下が認められ,その要因は右側の両側性機能低下によることが明らかになった。これらは,両側性機能低下の提唱されているメカニズムの大脳半球間抑制や大脳半球内抑制などと,加齢による運動制御系への変化や末梢・中枢神経系の運動制御メカニズムや心理的要因が関与していると推察される。また,主観的運動感覚の聴取の結果,高齢者において一側条件の方が行ないやすいものが多かった。これは心理的要因が関与していると思われるが,測定値の客観的運動結果と絡めて考えた場合,若年者群・高齢者群伴に主観的運動感覚と客観的運動結果が一致している場合もあったが,両側条件の方が行ないやすいと答えた者で一側条件の方が筋力値が大きい場合やその逆の場合が認められた。後者は,主観的運動感覚と客観的運動結果の違いを示すことになり,心理的要因が必ずしも関与しているとはいえない可能性が示唆された。本研究の結果は,筋力トレーニングに応用していく際に考慮すべき現象であると考える。
土佐リハビリテーションカレッジの論文
2004-12-20

一側・両側静的最大握力の若年者と高齢者との比較 -両側性機能低下に着目して-

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