スクワット肢位保持における大腿四頭筋の血液量および代謝の動態

概要

論文の詳細を見る
壁面での腰背部支持を伴うスクワット肢位保持であるWall Squat hold(WSH)において,主動筋となる外側広筋と内側広筋の血液量と酸素化状態および血中乳酸濃度の動態について検討した。被験者は健常人男性6名であった。WSHは両膝関節60度屈曲位にて3分間保持させ,これの運動前安静(安静期)から運動後回復(回復期)まで,近赤外分光法を用いて総ヘモグロビン量と組織酸素飽和度を測定した。また,簡易血中乳酸測定器を用いて安静期と回復期(運動終了直後・3分後・6分後)の血中乳酸濃度も測定した。血液量と組織酸素飽和度は,外側広筋と内側広筋において有意な経時的変化を認めたが,両筋間での経時的変化のパターンには有意差を認めなかった。両筋の血液量はWSHの1分目に最低値まで急速に減少し,その後終了までレべリングオフの状態が続いた後,回復期では急速に増加し安静レベルまで回復した。一方,組織酸素飽和度はWSHの開始とともに回復期2分目に認められた最低値に到達するまで漸減を続け,その後は増加に転じて回復期5〜6分目に安静レベルに回復した。また,血中乳酸濃度は回復期に有意な増加を示した。外側広筋と内側広筋における血液量と酸素化の動態には,筋活動に伴う筋内圧の変化と筋内に蓄積した乳酸の影響が考えられた。これらのことはWSHが大腿四頭筋に筋疲労を生じさせやすい運動課題であることを示唆しており,運動療法に適用する際には注意が必要であると思われた。
2002-12-20

スクワット肢位保持における大腿四頭筋の血液量および代謝の動態

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク