繊維状竹破砕物と窒素肥料の施用位置がダイズ品種フクユタカの収量と三要素集積に及ぼす影響
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概要
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本研究では,繊維状竹破砕物(以下,竹粉)およびN肥料の施用位置がダイズの収量および三要素の集積に及ぼす効果についての科学的根拠を得るために,2003年〜2004年にポット栽培試験を行った.竹粉(31.4g乾物,2003年のC/N比:80,2004年のC/N比:126)と(NH_4)_2SO_4(300mg N)の施用位置を変えた処理区:対照区,竹/N表面区,N/竹表面区,竹混合・N混合区,竹表面・N混合区を3連で設け,K_2HPO_4とKH_2PO_4で800mg P_2O_5,800mg K_2Oを各処理区に共通に施肥して,ダイズ品種フクユタカをポット当たり1個体栽培し,乾物,N,P_2O_5,K_2Oの集積パターンを調査した.2004年度は,竹粉の施用が施肥Nの利用に及ぼす影響をみるために,^<15>N(20.7atom%)標識のN肥料を用いて子実中の施肥N由来N量も定量した.N/竹表面区と竹表面・N混合区では特に登熟期間で高いSPAD値を維持し,収量および粒数が対照区よりも増加した.一方,竹混合・N混合区における栄養生長中期でのSPAD値の低下は,竹粉によるNの有機化が生じ,開花前の一時的なN不足を引き起こした.これが収量低下の主要な原因であると考えた.N/竹表面区と竹表面・N混合区では特に登熟期間で子実中のN,P_2O_5,K_2O集積量が対照区よりも増加した.竹混合・N混合区の子実中のN,K_2O集積量は対照区よりも増加したがP_2O_5集積量は減少した.子実中の施肥N利用率は,対照区で28%,N/竹表面区で18%,竹混合・N混合区で7%であった.したがって,竹粉の表面施用は施肥Nの有機化を促すものの,混合施用に比較するとその程度は低いことが明らかとなった.以上より,竹粉の表面施用による子実収量の増加は,ダイズの良好な生育が維持されたために子実生産が促進されたからであり,一方竹粉の混合施用による子実収量の低下は,施肥Nの吸収が抑制されダイズの初期生育が抑制されたため,開花後の葉色が竹粉の表面施用以上に回復しても子実生産に反映しなかったからであると推察した.
- 2009-08-05
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