ダイズとキュウリのNaClおよびCaCl_2に対する反応の違い
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概要
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ガラス室において修正Hoagland養液で栽培したダイズとキュウリのNaとClに対する感受性を比較した.1)21日齢植物を25mMと50mM NaClおよび12.5mMと25mM CaCl_2で処理した.両塩による処理によってダイズの生育は抑制された.一方キュウリでは,NaCl処理は生育を抑制したが,CaCl_2処理は生育障害を起こさせなかった.NaClで処理されたダイズでは,Na濃度は根と茎で著しく増加したが,葉ではそれほど増加しなかった.キュウリでは根と茎葉のNa濃度はNaCl処理によって増加した.両植物においてCl濃度は両塩の処理によって増加した.2)16日齢のキュウリを50mMと100mM Clの濃度のNaCl,KCl,MgCl_2,CaCl_2で11日間処理した.25mM CaCl_2の処理は,植物が若いため生育をわずかに減少させた.100mM Clの濃度において,CaCl_2処理は生育を対照区植物の52%に抑制し,NaCl,KCl,MgCl_2処理はその25〜26%まで抑制した.NaCl,KCl,MgCl_2処理は,それぞれの処理元素の植物体濃度を大きく増加させたが,CaCl_2による処理はCaの濃度をわずかしか増加させなかった.NaCl,KCl,MgCl_2処理を受けた植物の葉のCl濃度は根のCl濃度よりも高くなったが,CaCl_2処理植物では逆に葉よりも根においてCl濃度が高かった.3)以上の結果は,ダイズはキュウリに比べClに強い感受性を持ち,Naの葉への移行抑制能が高いためにNaの影響が出にくいこと,およびキュウリはNaに感受性を持つが,Clには耐性であることを示す.さらに,キュウリのCaCl_2に対する耐性は,過剰に供与されたNa,K,Mgの吸収増加と比べCaの吸収増加が低いことによることが示唆された.
- 2003-08-05
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