ダイズの根毛の変形に及ぼす親和性の異なる根粒菌株接種の影響
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概要
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ダイズ品種として,non-Rj遺伝子型のBragg,RJ_2遺伝子型のCNS,Rj_4遺伝子型のアキセンゴクとHillを用い,接種根粒菌としてBradyrhizobiumjaponicumIs-1とB.japonicumIs-34を用いた.B.japonicumIs-1による有効根粒形成はRj_2遺伝子によって抑制され,B.japonicumIs-34による有効根粒形成はRj_4遺伝子によって抑制される.根粒菌接種24時間後の主根の根毛の発生状態を光学顕微鏡によって観察した.Hillの根毛のdeformationは親和性菌株であるIs-1,非親和性菌株であるIs-34,あるいは無接種でも認められた.しかし,deformationの頻度は親和性菌株Is-1を接種した時が最も多く,その主な形態はスパイラル型であった.アキセンゴクの根毛のdeformationも全ての接種処理で確認された.しかし,親和性菌株であるIs-1を接種すると,deformationの形態はスパイラル型だけでなく,スパチュラ型になっているものも存在した.CNSとアキセンゴクに親和性菌株であるIs-34を接種すると,deformationの形態はスパイラル型だけでなく,スパチュラ型も認められた.根毛のdeformationは,基部に近い方では観察されず,主に根の先端に近い方で観察された.接種後12時間目では,4品種ともスパイラル型の前段階と思われる根毛同士の接触は確認されたが,スパチュラ型の前段階と思われる根毛は確認されなかった.Soybean (Glycine max L. Merr.) cultivars Bragg, CNS, Hill Akisengoku were used, these Rj genotypes were non-Rj, Rj_2 Rj_3, Rj_4 and Rj_4, respectively. Bradyrhizobium japonicum Is-1 and B. japoncum Is-34 were used as inoculum, and an effective nodulation by B. japoncum Is-1 is controlled by Rj_2 gene and that by B. japonicum Is-34 is controlled by Rj_4. After 24 hour of inoculation, the deformation of root hair was observed by using an optical microscope. Deformation of the root hair of Hill was recognized by the inoculation of a compatible strain Is-1, an imcompatible strain Is-34 or even non-inoculation. But, the frequency of deformation was highest when Is-1 was inoculated as a compatible strain and the main deformation was spiral type. The deformation of the root hair of Akisengoku was confirmed by all inoculation treatment, too. But, when the compatible strain Is-1 was inoculated, the main deformation was not only spiral type but also spatula type. The deformation of root hair was observed mainly at the position close to root tip but not at the position close to the basal root. Though the contact between the root hairs recognized as the previous stage of spiral type was confirmed, the root hair deformation considered as the previous stage of spatula type wasn't confirmed after 12 hour of inoculation in all soybean cultivars.
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