誘導型を通して見いだされる最終型の性質について : モデルの3形態,構造型,誘導型,および最終型の体系化

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完全体系の形で示されたモデルから得られる最終型の構造は,式(1.1)に示されるように,きわめて複雑である。しかしながら,この構造は,式(2.9)あるいは式(2.10)のように,はじめに,完全体系の誘導型を求め,これを基礎として式(2.12)のような形の最終型を求めると,最終型の構造がS(L)やs(L)の構造から比較的明確にとらえられる。ここでは,まず第1に,この点を明らかにした。次いで,モデル,特に完全体系の形で示されたモデルがもつ3つの形態,すなわち,構造型(structural form),誘導型(reduced form),および,最終型(final form)が,それらを得るために用いられる逆行列の個数によって体系的に連関づけられることを示した。クラインが示すように,完全体系をラグ・オペレーター(lag operator)を用いて,式(2.4)のように示し,この両辺にA(L)^<-1>を乗じることによって最終型を得ることができるが,このように,最終型を構造型から直接に求めず,式(4.2)に示すように,はじめ構造型から誘導型を求め,これを基礎として,式(4.5)のような形で最終型を求めることができる。興味あることには,このような過程をへてモデルの各種の形態を得ると,つぎのようなことがいえる。まず,構造型は,構造型に逆行列を0回掛けることによって得られる。誘導型は,構造型にA_0^<-1>という逆行列を1回掛けることによって得られる。そして,最後に,最終型は,構造型にA_0^<-1>と(E+A_0^<-1>A^L)^<-1>という逆行列をそれぞれ1回ずつ,合計2回掛けることによって得られる。いま,逆行列の掛ける回数を「深さ(degree of depthあるいはdepth)」と名づければ,構造型,誘導型,および最終型は,それぞれ,「深さ0,1および2の形態」であるといえる。上記の3つの形態の相互関係を図示すれば,下図のようになるといえよう。
流通経済大学の論文

著者

鈴木啓祐
流通経済大学

誘導型を通して見いだされる最終型の性質について : モデルの3形態,構造型,誘導型,および最終型の体系化

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