高温加熱調理における植物性食品のアクリルアミドの生成とその制御 : テンペ,ジャガイモ,サツマイモのフライ
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概要
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小さく角切りしたテンペのフライおよびスライスしたジャガイモ・サツマイモのスのフライ(チップスの製造)によるAA生成とその制御について検討を行った。1.テンペは,170℃,5分のフライでAAを生成し,製品により異なるが,そのレベルは10〜347ng/gであった。この平均値は105ng/gで,市販ポテトチップスに含まれるAAレベルの約1/15であった。2.テンペのフライによるAA生成量は,テンペに含まれるアスパラギンと還元糖の量に依存した。3.テンペのAA生成量はフライ時間の経過に伴って増加し,フライ時間5分に定めて温度を変えて検討したところ,150℃では微量であり,170℃で最も多く,190℃では減少した。4.180℃-2分のフライによってつくったポテトチップスのAAレベルは,4600〜10500ng/gであった。そのAAレベルの平均値(7500ng/g)は,市販品の約5倍であった。5.ポテトチップスの原料ジャガイモは,すべて高濃度(約10μmol/g)のアスパラギンを含んでいた。それは,テンペの3〜5倍で,サツマイモの25倍であった。ポテトチップのAAレベルが高いのは,ジャガイモが高濃度にアスパラギンを含むことに起因すると考えられる。6.原料のジャガイモの種類や産地でポテトチップスのAA濃度が異なった。これは,ジャガイモに含まれる還元糖量と関係があることが示唆された。7.油温度を低くしてポテトチップスをつくると,AAレベルがより低くなることが実証された。8.サラダ油よりもキャノーラ油を使用した場合,AAレベルのより低いポテトチップスができた。9.低温-短時間(150℃-1.5分)のフライ条件でサツマイモチップスをつくったにもかかわらず,そのAAレベルは368ng/gを示した。これは,サツマイモはアスパラギン含有量が少ない(0.4μmol/g)けれども,還元糖が非常に多い(82.2μmol/g)ことによると考えた。
著者
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