ヴァインランド精神薄弱者施設草創期における総合的施設から教育・訓練専門施設への転換とその意義 : 創設者S.O.ギャリソン施設長時代(1888-1899)
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概要
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ヴァインランド精神薄弱者施設は、第二代施設長E.R.ジョンストン時代に、教育心理学者で家系研究とビネ知能検査で著名となりつつあったH.H.ゴダードを招聘し研究部門を創設するなど、20世紀前半のアメリカ合衆国を代表する施設である。当施設は、1888年にニュージャージー州最初の精神薄弱者施設として、S.O.ギャリソンによって創設された。ギャリソン施設長は、彼の寄付金活動によって施設を創設し、教育・訓練機能を重視しながら、あらゆるニーズを抱えた子どもを包括的・総合的にケアした。だが、入所者数の増加が問題化し、教育・訓練、医療の経験とその蓄積によって対象児の見直しが起きると、施設はしだいに教育・訓練機能の衰退を危惧するようになる。また、衰退化への危惧とともに、設立当初からあった施設財政面における州との緊張関係とによって、施設は施設機能の分化を構想し、教育・訓練専門施設への転換を目指していく。一方、施設は法人施設であるゆえに、きわめて小規模な小舎制の採用、医師ではなく精神薄弱児教育・訓練の経験者であるE.R.ジョンストンの招聘に見られるように、自主性と柔軟性に富んだ施設運営も展開する。
- 2007-03-30
著者
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本間 貴子
筑波大学附属大塚特別支援学校
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本間 貴子
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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高野 聡子
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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宮内 久絵
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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長塚 修一
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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佐々木 順二
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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佐々木 順二
筑波大学大学院
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