<原著>大正期の福岡盲唖学校における株式会社聾唖工芸品製作所設立の経緯と理念
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概要
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大正期の私立福岡盲唖学校に授産施設が併設される過程を、学校の財政基盤の確立と、卒業生の就労困難問題およびそれに対する校長の認識という観点から検討した。草創期の同校における技芸科教育は、財政窮迫のために設備と教育力の両面に制約があり、卒業生の就労は困難な状況にあった。第3代校長吉村誠の就任後の大正5年以降、県費補助により学校財政が再建され、炭坑財閥および県からの資金援助により校舎の新築移転が実現し、さらに新築校舎への授産施設の併設が推進された。吉村は、一般事業所を利用した実習教育の構想と、卒業生のための授産施設の設立という二つの方針を持っていたが、保護者に認識されていた卒業生の就労困難の現実を理解する中で、授産施設の設立とその経営に、重点を置くようになった。福岡盲唖学校に併設された授産施設が「株式会社」方式をとったことには、卒業生の、当事者意識と勤勉さを向上させることへの期待があった。
- 筑波大学心身障害学系の論文
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