前言語的段階における行動調整の発達 : 非言語媒介過程による把握運動反応の調整
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では、前言語的段階にある重度精薄児の行動調整を検討するために、非言語媒介行動調整過程を仮定した。すなわち、言語媒介行動調整過程に至るまでに、無媒介→非言語媒介→言語媒介という図式を想定し、これを外的刺激に対する把握運動反応の調整を通して検証した。実験Iでは、無媒介、非言語媒介の発現時期を中心に検討し、実験IIでは実験Iの健常乳幼児について縦断的に検討を行なった。その結果、無媒介過程は生後12ヵ月未満、非言語媒介前期は生後12ヵ月頃、非言語媒介中期は生後17ヵ月頃の健常乳幼児、重度児の一部に認められた。実験IIIでは、月齢の高い健常乳幼児、話しことばの獲得期にあると推定される重度児を対象に、行動調整の仮説的発達段階を検討した。その結果、非言語媒介後期は、生後24ヵ月以上の健常幼児、および重度児の一部に存在することが示唆された。しかしながら、健常幼児では言語媒介過程の影響により反応の減少が著しかった。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1984-09-30
著者
関連論文
- 中度および軽度精神遅滞児の弁別移行学習過程 : 先行学習での適切手がかりの言語化について
- 精神遅滞児・者の知能構造に関する研究 : WISC知能診断検査による検討
- 精神薄弱児・者の弁別学習機制に関する研究
- 精神薄弱児の弁別学習における手がかり機制の発達に関する研究
- 特殊教育専攻学生の意識調査
- 精神遅滞児の数概念における等価関係の発達的特徴 : 等価関係の発達とその援助について
- 小児脳波の追跡記録における後頭部α成分の発達的変化 : コヒーレンス値とスペクトル構造の年齢的変化に関する検討
- 脳波のθ成分とα成分の部位間関係に見られる特徴 : 精神遅滞者脳波のコヒーレンスによる検討
- 発達途上脳波にみられるα波の特徴 : 健常児・精神遅滞者脳波周波数スペクトル構造の定量化による検討
- 精神遅滞児の数字刺激呈示条件における脳波α成分の応答的変化