322 能動弾性軸受台で支持されたオーバーハング回転軸系のロバスト振動制御
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
オーバーハングを有する回転機械では,自由端に回転体が取り付けられているため不釣合いに対する感度がよく,少しでも励振力があると大きな振動が発生する.オーバーハング部に直接制御力を与えることのできないようなオーバーハング回転軸系の振動を制御するための方法の一つとして,オーバーハングロータを支持している軸受の一つを弾性に支持して,その弾性軸受部に電磁石によって制御力を加える制振機構を考える.この能動弾性支持されたオーバーハング軸系をモデル化して,Fig. A1のようなオーバーハング回転軸系の解析モデルを考える. Fig. A1のモデルの運動方程式は次のように表される. m_1x_1=-k_<11>x_1-k_<12>θ_y-k_<13>x_2+m_1eω^2cosωt m_1y_1=-k_<11>y_1+k_<12>θ_x-k_<13>y_2+m_1eω^2sinωt I_dθ_y-I_pωθ_x=-k_<21>x_1-k_<22>θ_y-k_<23>x_2+(I_d-I_p)τω^2sin(ωt+β) I_dθ_x+I_pωθ_y=k_<21>y_1-k_<22>θ_x+k_<23>y_2+(I_d-I_p)τω^2cos(ωt+β) m_2x_2+cx_2+kx_2=-k_<31>x_1-k_<32>θ_y-k_<33>x_2-f_x m_2y_2+cy_2+ky_2=-k_<31>y_1+k_<32>θ_x-k_<33>y_2-f_y (A1) この運動方程式から状態方程式と出力方程式を求めて制御系設計を行う.制御系設計を行う際,制御対象をモデル化し,そのモデルに基づいてフィードバック制御系を設計すれば,シミュレーションでは高い制御性能を達成することが出来る.しかし,通常は設計に用いられるモデルと実際の制御対象との間には必ず誤差があるため,モデルを過信して設計した補償器を用いると現実の閉ループ系は往々にして不安定になる.そのような場合,ロバスト制御系設計法を用いれば,厳密なモデルを得ることが困難な制御対象に対しても実用的なフィードバック補償器を比較的容易に設計することが出来る。ロバスト制御では,単一の制御対象モデルを定めるのではなく,モデル化誤差をも考慮したモデルに基づいて制御系を設計する.その代表的な設計手法としてH_∞制御が知られているので,本研究ではH_∞制御理論を用いて制御系設計を行い,数値シミュレーションにより制振効果を検討した.まず,感度低減化問題による制御系設計を行った結果,良好なシミュレーション結果が得られたがロバスト安定性に問題があった.そこで,外乱抑制とロバスト安定性を同時に検討できる混合感度問題によって制御系設計を行ったが,標準H_∞制御理論の仮定を満たすことができない等の問題が起こり,十分な制振効果が得られなかった.この2つのシミュレーション結果を踏まえ,問題点を排除するために混合感度問題のブロック線図を変形し,修正混合感度問題としてシミュレーションを行った.その結果,修正した混合感度問題による制御系設計では,準感度関数S'(s)の重み関数の試行錯誤により,ある程度望んだとおりの制振効果を得ることが可能であることが数値シミュレーションから確認できた.また,ロバスト安定性も十分得られていることが確認できた.更に,外乱に対するシステム外乱に対して,良好な制振効果が得られた.実際の制御対象とモデルには,今回用いたようなパラメータの誤差の他にも更に異なったパラメータ誤差,線形化誤差などが考えられるため,数値シミュレーションのような結果が得られるとは限らない.よって,実際に実験により,その制振効果を確認することが今後の課題として挙げられる.
- 2006-08-06
著者
-
水谷 一樹
三重大
-
水谷 一樹
三重大学大学院工学研究科
-
水谷 一樹
三重大学工学部
-
水谷 一樹
三重大工
-
池浦 良淳
三重大工
-
水谷 一樹
三重大学 大学院
-
水谷 一樹
三重県立看護大学 看護学部
-
橋本 晋吾
三重大院
-
福島 正也
三重大院
-
池浦 良淳
三重大
関連論文
- 枕上における頭部の寝返り抵抗トルクの解析(機械力学,計測,自動制御)
- 1P1-D5 人間に協調するロボットの最速可変ダンピング制御(72. 感覚・計測・バイオメカトロニクスI)
- 212 人間に協調するロボットの最適可変インピーダンス制御(操作システムと制御)
- デュアルディスプレイ型VDTにおける作業特性
- ノートパソコンの液晶ディスプレイの高さに関する人間工学的一考察
- 眼球運動に基づく人間の位置決め動作解析(OS6 ロボット・ヒューマンコミュニケーション)
- 512 ボイスコイル形アクチュエータを用いた除振装置の性能改善に関する研究(O.S.2. 機械と振動と振動制御)
- 526 演習・実験・実習を重点配備した実践教育カリキュラム : 三重カリキュラム(変革する東海地区の工学・技術教育-社会のニーズに応えて-,工学教育フォーラム)
- 演習・実験・実習を重点配備した実践教育カリキュラム, 三重カリキュラム
- 516 ボイスコイルモーターを用いた手の震えの制振制御(計測制御・システム工学)
- 人間に脅威を与えないロボットの動作予告提示方法 : 動作中に予告を提示する場合
- 108 ベクトルを用いた変位と速度により復元力が変化するヒステリシスを有する区分線形系の解析方法
- 人間に心理的脅威を与えないロボットの動作予告提示方法 (手先三次元運動の予告)
- 508 能動弾性軸受台で支持されたオーバーハング回転軸系の最適振動制御(磁気軸受・制御,OS-4 ロータダイナミクス)
- F-1038 オーバーハング回転軸系の制振特性に及ぼす取付台剛性の影響 : 二次共振点付近の振動特性についての検討(G10-6 制御・制振)(G10 機械力学・計測制御部門一般講演)
- 3705 オーバーハング回転軸系の制振特性に及ぼす取付台剛性の影響
- ハイブリッド形除振装置の性能改善に関する研究 : 周波数依存重み関数と位相補償の適用
- オーバーハング回転軸系の振動制御に対する最適レギュレータ理論の適用(G10-4 制御,G10 機械力学・計測制御部門)
- 能動弾性軸受台で支持されたオーバーハング回転軸系の最適振動制御に関する研究(制御一般)
- オーバハング回転軸系の最適振動制御に関する研究(機械力学,計測,自動制御)
- 645 オーバーハング回転軸系の最適制振 : 軸系モデルの簡略化とカルマンフィルタの適
- 645 オーバーハング回転軸系の最適制振(軸系モデルの簡略化とカルマンフィルタの適用)
- 727 オーバーハング回転軸系の最適制振
- 221 オーバーハング回転軸系の制振に対する最適レギュレータの適用
- 422 オーバーハング回転軸系の最適振動制御に関する研究 : カルマンフィルタを結合した最適レギュレータの適用(ロータダイナミクス)
- 102 オーバーハング回転軸系の最適振動制御に関する研究(OS10 振動ならびに衝撃解析・最適設計・モニタリング)
- 407 電磁石によるオーバーハング回転軸系の最適振動制御に関する研究
- オーバーハング回転機械のアクティブ振動制御 (〔三重大学地域共同研究センター〕平成11年度 共同研究成果報告)
- 人間どうしの協調運動における腕の可変インピーダンス特性とロボット制御への適用(機械力学,計測,自動制御)
- 324 冗長ロボットアーム運動の感性評価 : 人間の腕の冗長性を考慮した逆ヤコビアンの計算法
- 709 3自由度アクティブ除振システムの4点支持アクチュエータへの制御力の配分(OS12-2 機械と車両の制振,オーガナイズドセッション:12 機械と車両の動的解析と設計問題)
- B34 3自由度ハイブリッド除振システムの4点支持部への制御力の配分(OS3-1 免震・除振装置)
- 201 3自由度ハイブリッド除振システムの設計(設計・制御,学術講演)
- ワイヤロープ式シリコン単結晶引上げ装置の自励振動 : 第2報、ロープ巻取り用プーリの影響
- 322 能動弾性軸受台で支持されたオーバーハング回転軸系のロバスト振動制御
- 1A1-3F-E3 人間に心理的脅威を与えないロボットの動作予告提示方法 : 3 次元運動の予告
- 接触時の安定性を考慮したパワーアシスト装置のインピーダンス制御(感覚・運動・計測・バイオメカトロニクス2)
- 612 インピーダンス制御を用いたパワーアシスト装置に関する研究
- 319 パワーアシスト装置を用いた物体の位置決め操作
- 弾性軸受台で支えられた回転軸系のアクティブ制振 : 第1報,動吸振器理論の適用
- 3E3-05 インピーダンス制御によるパワーアシスト装置の操作性向上に関する研究(OS パワーアシスト)
- 接触操作を考慮した産業用パワーアシスト装置のインピーダンス制御(機械力学,計測,自動制御)
- 1P1-N-053 接触操作を考慮した産業用パワーアシスト装置のインピーダンス制御(制御の新理論とモーションコントロール2,生活を支援するロボメカ技術のメガインテグレーション)
- 609 パワーアシスト装置のインピーダンス制御とパラメータ推定
- 220 弾性軸受台で支持されたオーバーハング回転軸系の危険速度通過に関する研究
- 人間の座姿勢評価装置の試作とその評価(機械力学,計測,自動制御)
- 腕のインピーダンスに基づく操舵感の評価方法について
- 211 人間の腕の冗長性解析に関する研究(インテリジェントマシン3)
- 104 区分線形2段ばね振動系で発生するカオス及び倍周期振動に関する研究(OS1-1,OS1 振動解析・モデリング・制振)
- 1003 2 段ばね特性を有する振動系の非線形振動に及ぼす減衰の影響
- 615 能動機構を用いた座位保持評価装置の試作とその性能評価
- 312 区分線形 2 段ばね振動系の振動特性に及ぼす減衰の影響
- 226 指先の粘弾性特性の周波数解析
- オーバーハング回転軸系の最適制振
- ねじり剛性が履歴2段ばね特性を有する軸系の非線形ねじり振動に関する研究
- 電磁アクチュエータによるオーバーハング回転軸系の最適振動制御に関する研究 (〔平成12年度 三重大学地域共同研究センター〕共同研究成果報告)
- 振動刺激による人間の歩行誘導
- 人間に心理的脅威を与えないロボットの動作予告提示方法
- 1P1-78-128 人間に心理的脅威を与えないロボットの動作予告提示方法に関する研究
- 自販機のCAE構築および性能改良に関する研究 (〔平成12年度 三重大学地域共同研究センター〕共同研究成果報告)
- 剛性に方向差のある軸受台で支えられた偏平軸の不安定振動 : 第2報,ジャイロ効果のある傾き振動の場合
- ワイヤロープ式シリコン単結晶引上げ装置の自励振動 : 第1報,自励振動の発生原因についての実験的考察
- 人間に脅威を与えないロボットの動作予告提示方法 : 動作中に予告を提示する場合
- 人間に心理的脅威を与えないロボットアーム運動の動作予告提示法
- ロボット運動の心理的評価
- ロボット運動の心理的評価
- 414 3自由度ハイブリッド除振システムの制御系設計
- 能動弾性軸受によるオーバハング回転軸系の制振
- 取付台剛性を考慮にいれたオーバハング回転軸系のアクティブ制振
- 電磁石によるオーバーハング回転軸系のアクティブ制振
- 2A1-15 座位姿勢操作システムの構築とその評価(講演,パワーアシスト,日本機械学会 オーガナイズドセッション)
- 469 受動要素を利用したロボットのインピーダンス制御系の構成(GS6-1 ロボット関連技術)
- 113 回転方向にがたや緩みがある軸系の振動特性に関する研究(セッション4 評価・診断II)
- 人間とロボットの協調運搬動作の心理的評価(OS6 ロボット・ヒューマンコミュニケーション)
- オーバーハング回転軸系のセミアクティブ制振に関する研究
- 弾性軸受台による回転軸系の過渡振動の制振
- 弾性回転軸系の振動制御用電磁アクチュエーターの設計
- (12) Investigation of the Impedance Characteristic of Human Arm for Development of Robots to Cooperate with Humans(日本機械学会賞〔2003年度(平成15年度)審査経過報告〕)
- 603 ロボットアーム運動の 3 次元予告提示法
- 回転角速度が変動する扁平軸の不安定振動 : 第2報, 回転体が並進運動をする場合の不安定振動の近似解析
- 1A2-F08 産業用パワーアシスト装置の最適質量値決定に関する研究(感覚・運動・計測)
- 自在継手を介して駆動される非対称回転体の振動に関する研究
- 1A1-I13 受動要素を利用したロボットのインピーンダンス制御系の構成 : シミュレーションを用いた安定性に関する一考察(感覚・運動・計測)
- 回転角速度が変動する扁平軸の不安定振動 : 第4報,不安定振動に及ぼす回転体のジャイロ効果の影響
- 回転角速度が変動する扁平軸の不安定振動 : 第3報, 自在継手を介して駆動される回転体の傾き振動におけるジャイロ効果の影響
- 取付台剛性を考慮に入れたオーバーハング回転軸系の制振 (平成9年度 〔三重大学地域共同研究センター〕共同研究成果報告) -- (共同研究成果報告)
- 1P1-J08 最適可変インピーダンス制御を用いた人間とロボットによる物体の協調持ち上げ
- 被削材のびびり振動に及ぼす工員形状の影響 : 第2報,工具のすくい角が負の場合
- 回転角速度が変動する扁平軸の不安定振動 : 第1報,軸の扁平性と角速度変動の共存による不安定振動の発生
- 回転角速度が変動する扁平軸の不安定振動-1-軸の扁平性と角速度変動の共存による不安定振動の発生
- 構造減衰を有する回転軸の自励振動
- 非対称回転体をもつ偏平軸の軸端トルクと強制振動
- (4)剛性に方向差のある軸受台で支えられた非対称回転体の不安定振動
- 非対称回転体をもつ偏平軸の軸端トルクと不安定振動の発生
- 剛性に方向差のある軸受台で支えられた非対称回転体の不安定振動
- 剛性に方向差のある軸受台で支えられた偏平軸の不安定振動 : 第3報, 2種類の不安定振動の発生機構
- 被削材のびびり振動に及ぼす工具形状の影響 : 第3報,工具と被削材が部分的に離れる場合
- 被削材のびびり振動に及ぼす工具形状の影響 : 第1報,工具のすくい角が正の場合
- 再生びびり振動の発生について
- 剛性に方向差のある軸受台で支えられた偏平軸の不安定振動 : 第4報,近似解法の検討