生育熟度の異なるトウモロコシを材料として調製したサイレージの飼料価値 : 第1報牛による消化性と第一胃内性状

概要

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生育熟度を異にして収穫したトウモロコシ(Zea mays L.)を材料として調製したサイレージの飼料価値を,乳牛による消化率,第一胃内性状から検討した。すなわち,トウモロコシを乳熟期,黄熟期,完熟期に収穫し,サイレージを調製した。これらのサイレージを乾乳牛に飽食させて,3×3のラテン方格法により消化率を測定した。また,フィステル装着牛を用いて第一胃内の揮発性脂肪酸含量を測定した。結果は以下のように要約される。1)トウモロコシは生育が進むにつれて乾物率が増し,デンプン含量が増加してエネルギー濃度が高まる。反対に粗蛋白質や粗脂肪,繊維成分の割合は減少する。2)消化率は熟期が進むにつれて低下する傾向があり,乳熟期収穫調製と他の熟期収穫調製サイレージ間において粗蛋白質(p<0.01,0.05),粗脂肪,ADF(p<0.01)に有意な差がみられた。また,デンプンにおいて完熟期収穫調製で子実の糞中排泄が多く,他の熟期収穫調製サイレージと比較して有意に低い消化率を示した(p<0.01)。3)第一胃内の発酵は,完熟期収穫調製サイレージ給与時が他の熟期収穫調製サイレージ給与時と比べて,pHが高く,総VFA濃度が低い値で推移した。
帯広畜産大学の論文
1989-11-30