トラクタのウェイトトランスファ制御装置についての研究 : I.静定実験

概要

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トラクタのけん引力を増強する手段として,トラクタ前輪荷重とけん引作業機荷重の一部をトラクタ後輪に転移して,後輪荷重を増大させるウェイトトランスファ装置(油圧・機械式)がある。マッセイファガソン社製MF135トラクタのウェイトトランスファ装置(同社ではこれをプレッシャコントロール装置とよんでいる。)について,2輪トレーラと転圧ローラを供試して,油圧制御系に重点をおいた静定実験を行なった。次に実験結果を要約する。1)チェーン引張り力S_nと油圧Pとの関係は摩擦抵抗νが介在するためS_n=(K_1±ν)Pなる比例関係があることがわかった。したがって,油圧とチェーン引張り力との間には第4図に示すようにヒステリシス現象に類似した関係がある。また,チェーン引張り力はチェーン角度がほぼ約30度で最小値となり,角度がこれより増加しても減少しても増大する。2)トラクタ前・後輪および作業機荷重転移量ΔRとチェーン引張り力ΔS_nとの関係は,ΔR=K_2・ΔS_nなる比例関係があることがわかった。また,チェーン角度を大きくつけると,K_2も大きくなり転移量が増大する。3)トラクタ前・後輪および作業機の荷重転移量ΔRと油圧Pとの関係はΔR=(K_1±ν)K_2・Pなる比例関係がある。また,チェーン角度を大きくつけるとK_1・K_2も大きくなり,転移量は増大する。4)トラクタ前輪,作業機荷重のトラクタ後輪への転移比ΔR_f/ΔR_r:ΔR_t/ΔR_rは2輪トレーラの場合7.0:3.0,ローラの場合5.4:4.6であった。すなわち,作業機とトラクタとのヒッチ点と作業機支持点(車輪接地点)間の距離bが,トラクタ後輪ならびに作業機荷重転移に大きな影響を及ぼす。ローラのようにbが短いものは転移量大,2輪トレーラのように長いものは小であった。5)2輪トレーラを供試した場合のトラクタ後輪への最大転移量(増加率)は,チェーン角度0,15,30度のとき67,74,86%であった。ローラを供試したときのそれは,チェーン角度30度のとき108%であった。
帯広畜産大学の論文
1972-07-20

トラクタのウェイトトランスファ制御装置についての研究 : I.静定実験

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