香川県における酒米品種の栽培および育種に関する基礎研究 : 第1報生育,収量および品質の品種間差異

概要

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香川県への酒米品種の導入並びに育種素材の選抜についての基礎的知見を得る目的で試験を行った。1.穂揃期は,兵庫北錦の8月16日から山田錦の9月2日の間に分布した。穂揃期の草丈は,山田錦の120.7cmが最も高く,オオセトMの90.3cmが最も低かった。最高茎数は灘錦が最も多く,兵庫北錦が最も少なかったが,有効茎歩合は兵庫北錦が最も高く,灘錦が最も低かった。2.乾物重は,灘錦と兵庫北錦が穂揃期以降も停滞することなく増加したが,他の品種は緩慢となった。また,灘錦と兵庫北錦は,穂揃期以降の茎葉重がほとんど減少しなかった。3.葉色は,灘錦と兵庫北錦が成熟期まで高く維持されたが,他の品種は穂揃期後急激に低下した。4.収量は灘錦が最も多く,オオセトMが最も少なかった。山田錦は灘錦に次いで多かった。5.蛋白質含有率は山田錦か最も低く,オオセトMが最も高かった。心白粒の発現率は山田錦が最も高く,オオセトとオオセトMが最も低かった。六甲錦と兵庫北錦は収量と品質の両面で山田錦より劣り,灘錦も品質面で山田錦より劣った。6.以上より,酒米品種の導入には山田錦が,育種素材としては灘錦が有望と考えられた。
日本作物学会の論文
1994-12-25