軟X線画像診断による骨格異常マダイの追跡試験

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マダイPagrus major養殖においては種苗の大量生産技術は確立されたが,形態異常魚の発生が依然として問題となっている。なかでも脊椎骨の屈曲はよく見られる異常の1つである。閉腔鰾による脊椎の屈曲は主に椎体部位10-11の位置でおこるが,本研究では椎体部位15-17の位置での尾椎屈曲(前弯症lordosis)が開鰾魚で高い発現率を示した。そこで脊椎の屈曲を伴う魚群のなかから,外見上識別しにくい脊椎骨異常魚を麻酔後軟X線画像診断を行うことにより抽出し,試験開始時に標識を腹腔内に埋設した後,成魚出荷サイズまで継続飼育し,中間時,試験終了時に軟X線撮影を行って,脊椎骨異常が成長してどのように変化するのか追跡調査した。試験開始時に尾椎の背面方向へのV字型屈曲,椎体変形が見られた個体では,50.0%の供試魚で屈曲,椎体変形が正常に回復もしくはほぼ正常に回復していることが認められた。42.3%の供試魚で初めの屈曲部位は正常に回復したが別の部位で屈曲または変形が生じていた。7.7%の供試魚で回復および変化が認められなかった。また,椎体異常部位は開始時には椎体部位15, 16, 17で多く屈曲していたのが減少し,頻度分布のピークが椎体14, 15, 16, 17, 18と椎体21, 22へ二分化し,後者の方が増加していた。対照とした正常魚群と脊椎屈曲を伴う魚群の尾叉長および魚体重を比較したが,試験開始から終了まで有意差は認められなかった。本研究では開鰾魚における軽度の脊椎骨の屈曲,椎体自体の変形は化骨時期を過ぎても通常の状態で飼育を続ければ程度によつて回復可能であることが明らかとなった。
近畿大学の論文
2004-03-25

軟X線画像診断による骨格異常マダイの追跡試験

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