マダイおよびクロマグロ仔魚飼育水槽内のプランクトン群集構造

概要

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マダイおよびクロマグロ仔魚の初期飼育期間中に飼育水中のプランクトン群集構造が定量的に調査された。マダイ仔魚飼育水槽(No.1およびNo.2)では,実験最終日(孵化後14日令)での生残率は,28%未満であった。給餌開始時の独立栄養性生物/従属栄養性生物の生物量比(A/H比)は,0.65未満と低く,飼育期間を通して従属栄養性生物が卓越した。クロマグロ仔魚飼育水槽では,実験最終日(孵化後12日令)での生残率は,14.1%であった。艀化後4日令を除いて,従属栄養性生物が飼育水中で卓越した。バクテリア,従属栄養性ナノプランクトンおよびマイクロプランクトンから成る微生物ループ構成生物は,孵化後4日令では16.6%であったが,その後飼育の経過に伴って増加し,11日令には62.3%に至った。仔魚飼育水槽において低いA/H比は,飼育水中のワムシの餌料環境が好適ではないことを意味する。また,飼育水中の微生物ループ構成生物をコントロールすることは難しぐ,飼育水中の微生物ループ構成生物の増加は,仔魚飼育が困難であることを意味する。飼育水中のプランクトン群集構造の解析が仔魚飼育の難しさやその後の仔魚の生残を説明することができる可能性が,本研究によって示唆された。
近畿大学の論文
2006-03-25