米国における大気及び水質汚染 : 主要汚染物質に関する州別データを用いた分析
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概要
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本論文では,ジニ係数を用いることによりアメリカ合衆国における環境汚染の地域的不平等度について考察する.データにはアメリカ環境保護庁によるMonitor Values Report: Criteria Air Pollutants (1994-2004)およびthe 2000 National Water Quality Inventoryを用い,州レベルでの汚染水準データとした.主な分析結果は以下のとおりである.大気汚染物質については,1)拡散しやすい特徴を反映し,ほとんどの汚染物質についてジニ係数の値は比較的小さいが,地域間でその大きさに違いがあった.これは地域間の社会経済的,気候的相違の影響を受けていると思われる.2) 1994年から2004年の間に,いくつかの大気汚染物質の分布の不平等度は拡大している.それら不平等度の拡大した汚染物質は1990年のClean Air Actの改正により規制が強化された物質であった.3)年次間,地域間での環境ジニ係数のt検定により,多くの大気汚染物質について年次間にそのジニ係数に有意な違いが見られた.また,地域間のジニ係数の違いは小さくなってきている.水質汚染物質については,4)環境ジニ係数は,その科学的特徴を反映し,比較的大きな値をとるが,5)さまざまな汚染物質の影響と考えられる水生生物に対する汚染については,ジニ係数は小さな値をとり,水生生物に対する水質汚染はどこにでも遍在する問題となりうることを示している.結論として,環境政策が検討されるときには,環境汚染の水準を下げるだけではなくその不平等度も低下させるような政策を考慮する必要があると言える.
- 千葉大学の論文
- 2006-03-31
著者
-
丸山 敦史
園芸経営経済学研究室
-
坂田 祥子
園芸経営経済学研究室
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菊池 眞夫
園芸経営経済学研究室
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菊池 眞夫
千葉大学園芸学部
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菊池 眞夫
園芸経営経済学
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丸山 敦史
千葉大学大学院園芸学研究科
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丸山 敦史
園芸経営経済学
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菊池 眞夫
千葉大学環境健康フィールド科学センター
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