農地改革の生産性効果 : 山形県の稲作データによる検証
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概要
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「わが国の農地改革は農業における生産性を向上させた」とする見解は,統計的な検証を経ることなく,日本の農業関係者の間で素朴にかつ根強く信奉されてきている.しかし,近年経済学の分野で発展が著しい契約の理論によれば,定額小作制が卓越していたわが国の小作制度の下では,農地改革が正の生産性効果を持つことは,少なくとも短期においてはあり得ない.本稿では,既往の数少ないパイオニア的研究に従いつつ,山形県の稲作データを用いて,この見解が経験的に支持されうるか否かを検討した.主要な分析方法として,改革以前の小作地比率を改革後の稲作反収の増加率とを比較する方法をとった.県内市郡別データおよび特に小作地比率が高い二つの郡内の町村別データによる分析によれば,「農地改革は生産性効果を持たなかった」とする帰無仮説を棄却することは出来なかった。
- 千葉大学の論文
- 1997-03-28
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