インドネシアにおける原油輸出ブームへの政策的対応財政・金融政策において見逃されてきたいくつかの論点
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概要
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本稿ではインドネシアにおける原油輸出ブームを対象として、特定部門の輸出ブームがもたらす経済構造調整問題、すなわちオランダ病を回避するために取られた政策的対応のうちで、財政ならびに金融政策においてこれまで見逃されてきたいくつかの論点を指摘した。財政政策では原則としての均衡主義を表面的に維持しながら、実質的にはデリケートな会計処理ならびに非予算会計によって財政余剰の積み上げが行われてきたことを示した。一方、金融政策に関しては原油輸出ブームによる外貨準備の蓄積が国内経済における過剰流動性へとつながることを回避するために、商業銀行を通じた不胎化が金融当局の意図の下に行われたこと、また、それはインドネシア政府の対外借入に対する姿勢と密接にリンクした対応であったことを示した。これらの政策的対応はいずれも輸出ブームによる所得を短期的に積み上げることによって、急激な国内アブソープションの増大を回避し、しかもオランダ病という構造調整問題を回避する上で重要な意義を持ったものと考えられる。
- 千葉大学の論文
- 1995-03-30
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