重度精神遅滞児に対する強化刺激の効果
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概要
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重度児は,基本的には普通児や中軽度精神遅滞児と同じように強化に反応するが,重度児特有の反応を示すこともある。特に,2次強化において違いがみられる。社会的強化に対しては1次強化と同様に反応することもあるが,その数は少ない。また,重度児は精神発達が1歳前後にならないと社会的強化に反応しない。普通児よりも遅れる傾向がある。社会的強化のうちでも最もよく利用される言語強化に対しては,意味的側面よりも音の側面により反応しているわけであるが,感覚レベルの反応形式であるとみることができる。言語強化は社会的強化の中では強化値が最も高く,重度児にとっても重要な強化となっている。視覚刺激や聴覚刺激は,重度児にとって効果が低く,他の強化との併用が必要である。また,トークーも重度児では有効な強化とはなりにくい。このようなことから,重度児にとっては1次強化が最も効果的な強化となっていることが分かるが,強化方法によっては,その効果が社会的強化よりも低くなることがありえる点で注意すべきことがある。一方,社会的強化は強化方法に影響されない特徴を持っていて,課題や被験者の状態によっては1次強化よりも利用できることがある。この点は更に研究しなければならない。以上,本論では,強化刺激の質的,量的問題と反応との関係に絞って検討したわけであるが,その目的は,重度児に対する強化の効果を明らかにするだけではなく,重度児がどのような反応を外的刺激に対して示すのか,また,どのような刺激を受容するのかなども含まれていた。しかし,研究が充分になされていないため不明な点が多いことも確かである。
- 横浜国立大学の論文
- 1981-11-30
著者
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