高血圧心から高血圧性心疾患へ(老研究者の覚え書)
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概要
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1950年代中頃には有効な降圧薬が少なく、高血圧の治療不備のまま、合併症で死亡する症例が目立った。今回は冠状動脈硬化・狭窄を合併しない高血圧心・高血圧性心疾患を提示する。第1例は58歳、男。血圧(BP)170/90 mmHg。胸部XP上心胸比(CTR)41%。高電位・平低T波心電図(EKG)。胃癌による悪液質死。心重量(HW) 310 g。左室(LV)/心室中隔(VS)厚1.8/1.4cm、逆円錐型求心性肥大。心筋細胞肥大、血管周囲・散在性小型心筋脱落巣。第2例は64歳、女。BP185/120。CTR 53。深いSv_2 EKG。HW 310。LV/VS 1.4/1.6、不釣合な中隔肥厚を伴う筒型求心性肥大。IV筋束配列の乱れと心筋細胞肥大。第3例は44歳、男。BP200/120。CTR 54。高電位・尖高T波EKG。尿毒症死。HW 480。LV/VS 1.7/1.6。卵型拡張性肥大。内・中層心筋細胞の肥大・変性。第4例は39歳、女。BP 200/100。CTR 66。ストレィン型ST・T低下EKG。腎不全死。 HW 340。LV/VS 1.2/1.1。先細り卵形拡張性肥大。心筋改築を伴う内・中層の肥大・変性。第5例は75歳、女。BP 150/110。CTR70。高電位・ストレィン型ST・T低下EKG。腎不全死。HW 400。LV/VS2.0/2.1。卵形の拡張性肥大。心築改築を伴う肥大と前壁優位の多発性巣状小型心筋線維症。220例の連続剖検心を用いて左室肥大EKG診断基準としてのサカロフ・ラィオン基準高電位差とストレィン型ST・T低下の病理学的意義を検討した。
- 2004-03-31
著者
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