有機農産物の製品差別化と流通システム : 岡山県T農協を事例として
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概要
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本論文では,有機農産物の流通システムについて考察する.有機農産物は化学肥料や農薬を使用しないで生産した農産物である.有機農産物は,化学肥料や農薬が著しく多投されるようになった1970年代から生産されるようになった.T農協の有機野菜について事例研究を行うことにする.初期から,有機農産物は特定の生産者と特定の消費者の「産消提携」によって生産されてきた.T農協のグリーンボックス制度は成功した事例の1つである.やがて,有機農産物が一般の消費者に需要されるようになるやいなや,新しい流通システムが必要になる.新しい流通システムは,有機農産物のガイドラインおよび認証制度により支えられ,有機農産物を一般農産物から差別化しうるようになる.製品差別化は,その製品に対する買い手の関心を高め,他の製品による代替性を減じ,価格を高め,生産者の収益を高めるかもしれない.T農協のデパート・スーパーとの新しい形態の流通システムも,また成功した事例である.有機農産物の流通システムが成功するためには,認証制度が整っているばかりではなく,優れた生産者組織と栽培経営技術が必要である.
- 2001-03-31
著者
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