農協共販における野菜出荷組合の組織と機能 : 嬬恋村農協キャベツ共販を事例として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
農協共販は,組合員による農産物の共同販売活動を通じて,「規模の経済の利益」あるいは「地域的集積の利益」を実現することである.本稿では,夏秋キャベツの産地である嬬恋村農協を事例として農協共販の組織と機能について検討した.農業共販は,しばしば集落単位の出荷組合に通じて行なわれる.また,集落内部で意志統一ができない場合には,集落に複数の出荷組合が組織されることもある.共同販売を行なうにしても,集落を越えていきなり行なうことは不可能である.集落内部での意志統一を前提として,集落を越えた意志の統一が可能となる.通常,集落が販売意志統一の最小単位として機能する.意志の統一の拡大は,農協の機能的組織化によって可能となるが,それは地縁的な基礎のうえに形成され組織化である.農協共販売には,まず第1に地縁的結合に基づいた集落内での合意の形成が必要である.さらに農協共販を進めるためには,新たな主体的・機能的結合に基づく組織への転化が必要である.高冷地野菜の大産地の農協共販の近代的組織力を支えているのは,出荷組合という慣習的な組織力であることを示した.なお,現地調査に際しては,嬬恋村農業協同組合営農畜産課および同野菜出荷組合の関係者諸氏のご協力を受けたことを記して謝意を表する.
- 1993-03-25
著者
関連論文
- 道の駅併設農産物直売所とその顧客の特質に関する考察 : 埼玉県大里地域の農産物直売所を事例として
- 食料品小売業の生産性とその規定要因 : 商業統計表業態別地域別データを用いて
- 中国野菜産地における卸売市場の構造と役割 : 山東省魯中地区を事例として
- 有機農産物の製品差別化と流通システム : 岡山県T農協を事例として
- 農協共販における野菜出荷組合の組織と機能 : 嬬恋村農協キャベツ共販を事例として
- 園芸農産物の品質規格と共販価格 : 銚子農協メロン販売を事例として
- 農協共販の経済理論序説
- 切花の品質評価基準に関する考察 : バラの要求品質および出荷体制別追求品質の比較分析
- 土地改良投資の経済的及び非経済的効果に関する考察
- 切花産地の流通組織に関する考察 : 鴨川市のバラ共販農家と個販農家の比較
- 中央卸売市場における仲卸業者の機能の変化 : 東京都中央卸売市場大田市場の青果物流通を事例として
- 青果物卸売市場における仲卸業者の流通経費に関する考察
- イチゴ養液栽培の収益性
- 野菜養液栽培の収益性
- 高冷地野菜産地の農家の類型的考察 : 林の数量化理論第III類による解析
- 青果物集出荷機構の組織原理に関する一考察 : 韮山苺出荷組合を事例として
- 野菜の集出荷機構の社会的経済的考察 : 野菜出荷組合の二面的性格について