青果物卸売市場における仲卸業者の流通経費に関する考察
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概要
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本論文では,仲卸業者の流通経費を小売業者と比較しながら検討した.卸売市場は卸売業者と仲卸業者によつて構成されるが,それは青果物流通にとり,最も重要である.仲卸業者は,卸売業者から仕入れた青果物を選別調整した後,一般の小売業者に販売すると同時に,量販店にも販売する.仲卸業者の販売額100万円当りの流通経費は,野菜では90,200円,果実では70,396円であった.仲卸業者の流通経費は,一般小売店と比べて小さいばかりでなく,量販店と比べてもかなり小さかった.すなわち,販売額当りの流通経費は,販売額当りの小売経費の半分以下であった.仲卸業者の流通経費は,1976年から85年の期間に,野菜で年率4.3%,果実で3.7%で増加した.流通経費の増加の傾向は,仲卸業者の収益性にも影響を与えた.販売額当りの営業純利益は,同期間に,野菜で年率2.8%,果実で5.7%で減少した.また,販売額当りの営業所得は,野菜で年率5.1%,果実で5.6%で減少した.仲卸業者の流通経費は,営業費,労働費,減価償却費,地代・家賃,公租公課,資本利子等から成っている.流通経費に占める営業費の割合は,野菜では23.0%,果実では22.6%である.仲卸業者の流通経費に占める営業費の割合は,小売業者とほぼ同一である.仲卸業者の営業費は,野菜では年率4.8%,果実で2.5%で増加した.営業費の増加は,流通経費の増加の要因の一つである.営業費の主要項目は,運賃,車両燃料費及び交際費であった.それらの経費は,顧客である小売業者との友好関係を維持するために重要である.仲卸業者にとって,労働費は最も重要である.労働費の流通経費中での割合は,野菜では67.3%,果実では67.6%である.仲卸業者の労働費は,一般小売店と比べて小さいばかりでなく,量販店と比べてもかなり小さい.仲卸業者の販売額当りの労働費は,小売業者の販売額当りの労働費のおよそ半分であった.仲卸業者の流通経費に占める労働費の割合は,量販店と比べて大きいばかりでなく,一般小売店と比べても大きい.仲卸業者は,小売業者に比べてより多く労働に依存していることになる.仲卸業者の労働費は,野菜では年率4.3%,果実で4.1%で増加した.労働費の増加は,流通経費の増加の最も重要な要因となっている.労働費は,雇用労働費と自家労働費から成っている.雇用労働費の割合は,野菜では90.0%,果実では85.0%である.仲卸業者の雇用労働費の割合は,一般小売店と比べて大きいばかりでなく,量販店と比べてもかなり大きい.仲卸業者は,量販店と比べてもより多くの雇用労働に依存していることになる.
- 千葉大学の論文
- 1994-03-25
著者
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