多発性骨髄腫の腎機能障害に関する臨床的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
[目的]多発性骨髄腫(MM)の診断確定後の一定期間の腎機能がMMの長期生命予後に及ぼす影響について検討する。[方法]対象は北里大学病院で診断されたMM患者。診断後8週間にわたる腎機能により,I群:血清クレアチニン(S-Cr)値が177μmol/l(2mg/dl)にとどまった例,II群:S-Crが177μmol/l(2mg/dl)以上かつ透析療法非施行例,III群:透析療法施行例の3群に分類し,診断時の臨床所見,経過,生命予後についてretrospectiveに群間比較した。[結果]対象82例の内訳はI群54例,II群11例,III群17例であった。II群,III群では全例でBence Jones蛋白が陽性であった。これに高Ca血症,高尿酸血症,造影剤の使用などが加わることにより腎機能が増悪していた。II群の患者では,11例中5例で高Ca血症を伴い他の2群と有意差(p<0.01)を認めた。さらにDurie分類のstage IIIが90%を占め,骨髄腫細胞の比率はI群に比して有意(p<0.05)に高値であり,生命予後は平均8.1±10.3か月とI群,III群に比して有意(p<0.05)に短かった。III群では,維持透析に移行した15例中14例がMMの診断から1年以内に死亡し,生命予後は平均9.0±15.3か月と不良であったが,2週以内に透析療法から離脱した2例の生命予後は平均33.5±6.4か月と,腎機能も含めてIII群の他の15例に比し予後良好であった。I群54例のうち2例が透析療法導入となったが,ともにMMの診断から2年以上経過後の急性腎不全であり,透析導入後8週間以内に合併症により死亡した。[結語]MMの診断から8週間の腎機能障害の程度から,長期的な腎機能の予測および生命予後の推察が可能であった。
- 北里大学の論文
- 1994-12-31
著者
-
小林 豊
北里大学 医学部腎臓内科
-
小林 豊
医療法人三友会あけぼの病院腎臓内科
-
鎌田 貢壽
北里大学医学部腎臓内科
-
小林 豊
あけぼの病院腎臓内科
-
鎌田 貢寿
北里大学医学部・内科学
-
大久保 充人
佐野厚生病院
-
小林 豊
北里大学医学部・内科学
-
内田 満美子
北里大学内科
-
内田 満美子
北里大学医学部・内科学
-
大久保 充人
佐野厚生総合病院・内科
-
鎌田 貢壽
北里大学 医学部内科学
-
鎌田 貢寿
北里大学 内科
-
大久保 充人
佐野厚生総合病院 内科
-
鎌田 貢壽
北里大学医学部内科
-
小林 豊
北里大学医学部
関連論文
- 生前診断が困難であった多嚢胞化萎縮腎に発生した腎細胞癌の1例
- 腎移植後の透析再導入例にイコデキストリン腹膜透析液を使用し移植残腎機能温存とQOL改善を認めた1症例
- 足細胞陥入糸球体症に関する国内調査中間報告
- 骨髄異形成症候群による肺胞出血を合併した透析患者の1例
- 発症時急性糸球体腎炎との鑑別が困難であった膜性増殖性糸球体腎炎の1例
- 皮膚科・内科合同カンファランスの運営
- 急性腎不全,急性心不全,精神不穏を併発したマンニトール中毒症の1例
- 高年齢発症した溶血性連鎖球菌感染後急性糸球体腎炎の4例
- 多発性骨髄腫の腎機能障害に関する臨床的検討
- (4)不安定ヘモグロビン症を伴った維持透析患者への,ヒトエリスロポエチンの大量投与例(一般演題,第19回北里医学会総会講演抄録)
- (1)ラット腎糸球体蛋白抗原により誘導された膜性腎症の研究(一般演題,第13回北里医学会総会抄録)
- 泌尿器科系疾患の微細構造の見方-2-腎糸球体病変:IgA腎症
- Immune complexと腎糸球体基底膜,メサンジウム障害 (Immune Complex Disease)
- ループス腎症と沈降性DNA抗体
- 多発性筋炎の経過中に膜性腎症によるネフローゼ症候群を伴った1例
- 血液浄化療法, 免疫抑制剤での救命後に再燃した肝炎に対しラミブジン投与が有効であった劇症肝炎の1例
- (1)ラット膜性腎症モデルHeymann腎炎の発症・進展におよぼすBactobolinの効果(学生論文発表,第14回北里医学会総会抄録)
- ラット膜性腎症モデルHeymann腎炎の発症・進展におよぼすBactobolinの効果
- ヒト末梢血リンパ球の PWM および PPD 刺激による非特異的 immunoglobulin 産生に及ぼす macrophage の作用
- ヘマトクリット値連続測定装置を用いた各種plasma refilling rate測定法の有用性と限界の検討
- 29-B4-10-6 透析患者における注射用Ciprofloxacinの体内動態とその臨床効果(薬物動態・TDM,社会の期待に応える医療薬学を)
- CIC-5クロライドチャネルの分子構造・機能解析による遺伝性腎疾患の病態解明(大学院医療系研究科・プロジェクト研究報告書(平成12〜13年度))
- K濃度異常へのアプローチの仕方 (特集 水・電解質異常--症例から学ぶ診断プロセス)
- New Zealand Black/White F1マウスにみられる腎糸球体病変のMorphologic Transformation,とくにIgGサブクラス沈着様式の検討
- 当院における腎移植後肝機能障害の検討
- P-154 薬剤師の腎臓病教室への関わり(6.服薬指導(入院・外来)3,医療薬学の未来へ翔(はばた)く-薬剤師の薬剤業務・教育・研究への能動的関わり-)
- Candida parapsilosis による重篤なCAPD関連腹膜炎にミカファンギンの投与が奏功した透析患者の1例
- 北里大学病院における高齢者ドナーによる生体腎移植の検討
- 悪性胸腺腫胸膜播種への放射線治療により寛解を得た難治性微小変化型ネフローゼ症候群の1例
- 飲酒量に応じて重篤化したキノコ中毒の症例
- 多臓器不全, 下肢壊死が急速に進行し死亡したVibrio vulnificus敗血症の1例
- 腎機能障害患者における,血清ガストリン放出ペプチド前駆体濃度の上昇
- PCRダイレクトシークエンス法を用いたβ-グロビン遺伝子変異の解析 : 遺伝子診断が可能であった鎌状赤血球性貧血症および不安定ヘモグロビンBurke
- Heymann腎炎の病因抗原-抗体系の解明
- (2)実験ループス腎症に対する免疫抑制療法(一般演題,第13回北里医学会総会抄録)
- 第132回:SLE腎症の治療中片麻痺及び意識障害を呈した1例
- 慢性腎不全患者の病態生理学的研究(中課題II「代用臓器」)
- 感染症治療により軽快したMRSA関連腎炎の1例
- (5)死体腎移植における移植後の血液透析 : 特に移植腎機能との関わりについて(一般演題,第18回北里医学会総会抄録)
- 腎移植の長期予後に関わる諸因子の臨床的検討
- 腎移植後の悪性腫瘍
- 腎疾患と妊娠・出産
- 尿毒症における活性化末梢血単核球のアポトーシスの検討
- ラット腎髄質内層集合管細胞における尿素輸送体(UT-A1)の発現調節
- 抗結核療法が奏功した進行性椎間板炎を発症した維持血液透析患者の1例
- 非透析期にerythropoietin(rHuEPO)補充療法を施行し出産に成功した慢性腎不全の1例
- 自己免疫疾患モデルマウスMRL/lprの発症・進展・予後における非受容体チロシン燐酸化酵素Fynの役割 : fyn欠失による発症抑制効果を中心に : 第1報:fyn欠失MRL/lprマウスと腎障害
- 腎臓病と免疫 (免疫のしくみと病気)
- ループス腎炎における間質病変の定量的解析
- ル-プス腎炎 ("膠原病とその周辺疾患"治療と生活指導) -- (私の治療と生活指導)
- Nephrotic Syndrome with Diffuse Mesangial IgM Deposits
- 高アルカリフォスファターゼ血症を呈し,ネフローゼ症候群を経て急激に腎不全に陥った原発性アミロイドーシスの1症例
- 容量負荷時の循環動態(1) : とくに心筋収縮性の検討 : 第69回日本循環器学会関東甲信越地方会
- Hypersensitivity Angiitis (Allergic Vasculitis)の1例
- 腎に多発性動脈瘤を伴った高血圧症
- IgA腎症におけるmonocyte/macrophage系cell line(THP-1, U937)へのIgA1の結合特性-IgA1ヒンジ部O結合型糖鎖関与の可能性-
- 北里大学病院における献腎移植10年以上生着者の検討
- 慢性血液透析患者の体重増加に対する白虎加人参湯の効果
- 216 慢性血液透析患者の体重増加に対する白虎加人参湯の効果
- 各種臓器(とくに腎臓,肝臓,膵臓)の保存,移植の実験的,臨床的研究(中課題II「代用臓器」)
- 6年間MPO-ANCA高力価で経過している免疫複合体型半月体形成性糸球体腎炎の1例
- (8)CAPD 患者における腎移植(移植,II.臓器移植,第11回代用臓器研究総会抄録)
- (7)生体腎移植142例の経験(III. 臓器移植,第9回代用臓器研究総会抄録)
- HB_s 抗原感作と腎移植成績 : とくにHB_s抗原carrier stateの移植腎生着延長効果について
- 悪性症候群に合併した急性腎不全の検討
- (10)SIADH 及び特発性浮腫における hANP の動態(第2回ANP研究会抄録)
- 血液透析により誘発される痛風発作を繰り返した巨大痛風結節患者の1例
- ラット腎糸球体蛋白により誘導されるラット膜性腎症モデルHeymann腎炎の研究
- 北里大学における腎移植患者の妊娠・出産についての検討 : ワークショップII : 泌尿器科領域における新しい物理的治療法 : 第57回東部総会
- 情報エントロピーによる透析中低血圧発症の予測
- 尿毒症期慢性腎不全患者の免疫能にかんする研究; とくに液性免疫能および透析の影響について
- 320.ヒト扁桃リンパ球のT細胞並びにマクロファージ非依存性抗原に対するin vitroでの抗体産生について(抗体産生)
- 第105回:細菌性心内膜炎による脳出血で死亡した慢性腎不全の1例
- SLE患者末梢血リンパ球のin vitro lectin 反応性とその血清中抗Bリンパ球抗体の存在について
- エポエチンαとエポエチンβの皮下投与時の痛みの比較調査
- 慢性腎不全患者における血清リポ蛋白,アポ蛋白代謝異常の検討 : 特に透析期の高中性脂肪血症,移植期の高コレステロール血症について
- (9)腎移植患者における妊娠および出産例についての検討(移植,II.臓器移植,第11回代用臓器研究総会抄録)
- (5)移植腎への原疾患の再発について(II.臓器移植,第10回代用臓器研究総会抄録)
- 第101回:意識障害,腎不全で発症し,M蛋白血症を併い,mal-nutritionにて死亡した1症例
- ビタミン代謝異常(V.Dを除く) (維持透析) -- (維持透析の医学的問題点)
- BumetanideとFurosemideの利尿効果の比較--Cross-over法による検討
- マウスのループス様腎症発症におけるCD4陽性細胞ならびにその関連リンホカインの解析
- ヒト血清IgAIの分子間相互作用とヒンジ部位ムチン型糖鎖の関与
- 高脂血症の判定と治療
- 妊娠中に血液透析療法を必要とした腎不全合併妊娠の臨床像
- 半月体形成性ウサギ馬杉腎炎に対するメチルプレドニソロンの検討
- 各種実験的糸球体腎炎におけるImmune Deposit像の解析 (第13回日本腎臓学会総会) -- (Immune Deposit Disease(シンポジアム)〔英文〕)
- γM抗腎抗体による実験的糸球体腎炎
- エポエチンαとエポエチンβの皮下投与時の痛みの比較調査
- 利尿剤の作用機序 : その腎組織呼吸抑制の特異性に関する実験的研究
- 腎移植後拒絶反応の診断と治療
- 慢性腎不全における脂質代謝異常
- 高Al-p血症を呈し,ネフローゼ症候群を経て急激に腎不全に陥った原発性アミロイドーシス(北里大学病院CPC記録)
- 189. 全身性紅斑性狼瘡 (SLE) 患者末梢血リンパ球の in vitro lectin 反応性, その血清阻害因子および抗B細胞抗体の存在について(自己免疫)
- 腎疾患のプライマリケア
- 高齢透析者の身体的特徴と外来通院透析の困難さ
- Heymann腎炎の病因抗体IgGアイソタイプの長期観察
- 腎疾患合併女性の妊娠・分娩 (特集 妊娠・分娩と血圧)
- ループス腎炎の免疫(第36回北里医学会例会講演抄録)
- 膜性腎症の病因II : 実験腎炎からみたヒト膜性腎症